DISCASレビュー

カッツ
2025/12/18 07:33

血と骨

以前にも見たが、まだ借りて見た。梁石日の小説を原作とし、1930年代の大阪を舞台に、在日朝鮮人として生きた作者の実父をモデルにした物語である。主人公・金俊平は、その体躯と凶暴性によって極道からも恐れられ、蒲鉾製造業や高利貸しで成功を収める一方、家族に対しては暴力を振るい続ける。やがて愛人との交際を経て転落し、最後は「故郷」と信じた北朝鮮で孤独な死を迎える。

映画全体を覆うのは「暴力」である。言葉の暴力、力の暴力、性の暴力――主人公を演じるビートたけしは、演技らしい演技を見せるというより、その存在感と暴力性そのものを体現している。豚を屠殺する場面や、ウジの湧いた肉を食べる場面など、グロテスクな描写も多く、耐性がなければ直視できないほどだ。

しかし一方で、昭和初期から戦後にかけての在日朝鮮人が暮らす長屋の雰囲気はリアルに再現されており、カメラワークの巧みさが際立つ。また、1960年代から1980年代にかけて北朝鮮が「地上の楽園」と謳われていた時代背景も描かれ、当時の社会的空気を理解する上で貴重な作品となっている。

『血と骨』は、暴力と破壊の中に在日社会の歴史と現実を刻み込んだ作品であり、観る者に強烈な印象を残す。

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