タワーリング・インフェルノ
タワーリング・インフェルノ
1974年 アメリカ 劇場公開:1975年6月28日
スタッフ 監督:ジョン・ギラーミン、アクション・シークエンス 監督:アーウィン・アレン
製作:アーウィン・アレン、シドニー・マーシャル 脚本:スターリング・シリファント
原作:リチャード・マーティン・スターンの「ザ・タワー」、トーマス・N・スコーティ
アとフランク・M・ロビンソン共著の「ザ・グラス・インフェルノ」
キャスト ポール・ニューマン、スティーヴ・マックィーン、ウィリアム・ホールデン、
フェイ・ダナウェイ、 フレッド・アステア、スーザン・ブレークリー、
リチャード・チェンバレン、ジェニファー・ジョーンズ、O・J・シンプソン、
ロバート・ヴォーン、ロバート・ワグナー、スーザン・フランネリー、
オーマン・バートン ほか
サンフランシスコの空にそびえ立つ138階建ての世界一高い超高層ビル“グラス・タワー”が落成の日を迎えた。設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)とオーナーのジム・ダンカン(ウィリアム・ホールデン)は、屋上に立って眼下にひろがる市の光景を見下ろしていた。ロバーツは疲れていた。一刻も早くコンクリートの大都会からのがれ出て、大自然のふところに飛び込みたかった。工事主任のギディングス(ノーマン・バートン)と打合わせをすませたロバーツは婚約者のスーザン・フランクリン(フェイ・ダナウェイ)と久しぶりに二人だけの時間をもった。惨事は、そのときすでに始まっていた。“グラス・タワー”の地下室にある発電機が故障したため主任技師のキャラハンが予備の発電機を始動させたとたんショートし、81階にある物置室の配線盤のヒューズが火を発し、燃えながら床に落ちた絶縁体の破片が発動機のマットをくすぶらせ始めたのだ。保安主任ハリー・ジャーニガン(O・J・シンプソン)の緊急報告を受けたロバーツは配線工事が自分の設計通りに行われていないのに憤然として、落成式の一時中止をダンカン企業の広報部長ダン・ビグロー(ロバート・ワグナー)に申し入れたが、ダンカンは拒絶した。しかしそのとき81階では火が大きく拡がりはじめていたのだ。ロバーツはダンカンの義理の息子であるロジャー・シモンズ(リチャード・チェンバレン)に会い、ビルの配線工事を担当した彼の配慮不足を責めたが、あとの祭りだった。一方、火災の発生をまだ知らない“グラス・タワー”の借間人たちは落成式パーティの準備に浮き足立っていた。1階から80階までがオフィス用、それから上は住宅用に作られたこのビルには、すでにさまざまな人が住みついて、たとえば90階のハーリー・クレイボーン(フレッド・アステア)の職業は株専門のサギ師だ。彼はおなじ階に住む富豪未亡人リゾレット・ミューラー(ジェニファー・ジョーンス)に早くも眼をつけ、今夜のパーティにエスコートし、うまく話をまとめて一儲けしようとしていた。外部からの招待客もそうそうたる顔ぶれで、上院議員ゲイリー・パーカー(ロバート・ヴォーン)、サンフランシスコ市長ロバート・ラムゼイなどがいた。入口のリボンが市長の手によって切られると、人々は135階のプロムナード・ルームへ直行し、ビルの全てのライトがともされ“グラス・タワー”の全容は夜空にクッキリとあらわれた。だが81階の物置室から出火した火は拡がり、ロバーツは消防署に急報した。連絡を受けた消火隊は隊長のマイケル・オハラハン(スティーヴ・マックィーン)の統率のもと、ほどなくビルに到着した。彼はただちにロバーツと“グラス・タワー”の設計図を検討した上、79階に司令センターを設置、ダンカンに緊急避難を令じた。81階の火が他に移り始めてエレベーターにも危険が迫っていることを察知したオハラハンは展望エレベーターを利用するよう令じたがすでに大混乱が始まっていた。地上からの救援だけでは間に合わぬことを知ると、オハラハンは海軍のヘリコプターに空からの救援を依頼したが、強風のためビルに近づくことができず、かろうじて近づいた一機もビルに激突して炎上した。“グラス・タワー”は今や完全にひとつの巨大な溶鉱炉と化した。隣りのビルからのワイヤーの救命籠作戦もロジャー・シモンズやパーカー上院議員の犠牲者を出し、いきずまっていた。

この映画は、史上初めてアメリカの大手映画会社「ワーナー・ブラザース」と「20世紀フォックス」が共同で製作・配給した作品であり、そのおかげで、ワーナーを主としていたスティーブ・マックイーンと20世紀主としていたポール・ニューマンの顔合わせ(1956年「傷だらけの栄光」でニューマンが主役マックイーンが端役として一応の共演)が実現した。
また、50年前に製作された作品とは思えないクオリティの高さである。監督、脚本はじめ最強布陣でのスタッフ、それと主要助演としてタイトルされるキャストの豪華さであり、大手映画会社が手を組んで送り出した超大作としても歴史に刻まれる傑作中の傑作です。
余談ですが、グラスタワーのモデルとなったのは、サンフランシスコに実在するバンク・オブ・アメリカ・センターといわれている。また、全米公開後の1975年2月13日、ワールドトレードセンターで火災が発生。11階のオフィスから出火して9階から11階まで燃え移るという、映画の内容に酷似した被害を発生させている。その26年後の2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで再度映画の内容に酷似した大規模火災によりワールドトレードセンターは完全崩壊・・・。