ノスフェラトゥ(1978)
ノスフェラトゥ(1978)
1978年 西ドイツ・フランス合作 劇場公開:1985年12月14日
スタッフ 監督・脚本・製作:ヴェルナー・ヘルツォーク 脚本:F・W・ムルナウ 原作:ブラム
・ストーカー 撮影:イェルク・シュミット=ライトヴァイン 編集:ベアテ・マインカ
=イェリングハウス 音楽:ポポル・ヴー 美術:ヘニング・フォン・ギールケ
キャスト イザベル・アジャーニ、クラウス・キンスキー、ブルーノ・ガンツ、ローラン・トポール、
ワルター・ラーデンガスト、カールステン・ボディヌス、モルテ・グローマン、クレメン
ス・シャイツ、ジョン・レディ、ビバリー・ウォーカー、ダン・ヴァン・ハッセン、ヤン・
グロート ほか
中世ドイツのブレーメンに住む不動産業者ジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ)は、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵から新しい邸を買いたいという求めに応じて長い旅に出た。黒海近くのドラキュラ邸まで4週間もかかるというこの旅に、妻のルーシー(イザベル・アジャーニ)は不安を抱いた。しかし、大金が入りルーシーのために新しい家を買うことができると、ジョナサンは勇んで出かけた。旅の途中、彼は宿の主人に「ドラキュラ邸には悪霊が潜んでおり二度と生きて帰った人はいない」と不吉なことを言われた。どの馬車も、ドラキュラ邸に行くと言うと断られ、ジョナサンは徒歩で旅を続けた。やがて通りかかった馬車に乗ってやっと辿りついたドラキュラ邸では、伯爵(クラウス・キンスキー)が、丁重なもてなしで彼を迎えた。白面で血の気のない不気味な面相の伯爵は、爪も異様に長く、囁くような声でジョナサンに接した。

本作の大まかなストーリーは、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』にのっとっているものの、ヴェルナー・ヘルツォークは本作をF・W・ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』に捧げたリメイクとして監督・製作したため、ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』とは異なる点がいくつか見受けられる。ムルナウは、ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』の映画化の許諾がおりなかったため、妻であるフローレンスが所有するこの小説の知的所有権の侵害を避けるべく、登場人物名などを変更したうえで映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』を制作したという経緯がある。1960年から1970年代初期にかけ、復元された『吸血鬼ノスフェラトゥ』が上映され、新世代の映画ファンを楽しませた。ヘルツォークは『吸血鬼ノスフェラトゥ』をドイツ史上最高の映画と考えており、クラウス・キンスキーを主役に据えたうえでリメイクしたいと考えるようになった。