DISCASレビュー

カッツ
2025/11/30 07:42

血と骨

『血と骨』(崔洋一監督)は、ビートたけしを主演に、新井浩文、田畑智子、オダギリジョー、松重豊、鈴木京香らが出演した社会派ドラマである。物語は1923年の大阪を舞台に、済州島から渡ってきた少年・金俊平の半生を描いている。彼は日本で一旗揚げることを夢見て移住し、強靱な肉体と凶暴さを武器にのし上がっていくが、やがて周囲から恐れられる存在となる。

印象的だったのは、日本へ渡る船の描写である。これまで「強制的に連れてこられた」というイメージが強かったが、この作品を通じて、自らの意思で夢を抱いて渡ってきた人々も多くいたのだと気づかされた。

俊平は、幼い娘を抱えながら懸命に生きる李英姫と結婚し、子どもをもうけ、蒲鉾工場を開業して成功を収める。しかし彼の粗暴な性格は抑えられることなく、家族に対しても暴力を振るい続ける。その姿は、成功と破滅、希望と絶望が同居する人間の業の深さを突きつけるものであり、観る者に強い衝撃を与える作品だった。

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