DISCASレビュー

カッツ
2025/11/23 07:35

真珠の耳飾りの少女

2003年、イギリスとルクセンブルクの合作映画で、ヨハネス・フェルメールの絵を元にしている。本作の最大の魅力は、フェルメール作品の色彩や構図を忠実に再現した映像美にある。柔らかな光と陰影、静謐な空気感が画面全体に漂い、まるで絵画の中に入り込んだかのような感覚を味わえる。映画は、フェルメールが『真珠の耳飾りの少女』を描く過程を丁寧に追いながら、モデルとなった少女との静かな交流や、芸術と欲望のはざまに揺れる心情を描き出している。

映画全体がまるで一枚のフェルメールの絵のようであり、視覚的な美しさとともに、言葉にならない感情の機微が余韻として残る作品だった。

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