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私の好きな映画

じょ〜い小川
2024/10/17 16:27

令和のニッポンの不都合、理不尽さを具現化したヒューマンドラマ『 』若き見知らぬ者たち』

■若き見知らぬ者たち

(C)2024 The Young Strangers Film Partners

《作品データ》
『佐々木、イン、マイマイン』を手掛けた内山拓也監督の最新作で、磯村勇斗主演の重いヒューマンドラマ。風間彩人は父親が残した借金を払うため昼は工事現場、夜はバーで働き、格闘家の弟・壮平と認知症を患った母親と暮らし、恋人で看護師の日向といるひとときを支えに生きる。ある日、友人の大和の結婚パーティーに行くために店を早仕舞いした彩人だが、直前に入店した酔客とトラブルになり、思わぬ事態に。風間彩人役を磯村勇斗が演じ、他に岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、伊島空、長井短、東龍之介、松田航輝、尾上寛之、カトウシンスケ、ファビオ・ハラダ、大鷹明良、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいかが出演。
・2024年10月11日(金)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー!【PG12】
・上映時間:119分
・配給:クロックワークス
【スタッフ】
監督・脚本:内山拓也
【キャスト】
磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、伊島空、長井短、東龍之介、松田航輝、尾上寛之、カトウシンスケ、ファビオ・ハラダ、大鷹明良、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいか

公式HP: https://youngstrangers.jp/
 



〈『若き見知らぬ者たち』レビュー〉
『佐々木、イン、マイマイン』を手掛けた内山拓也監督と磯村勇斗や岸井ゆきの、染谷将太が共演する重いヒューマンドラマ『若き見知らぬ者たち』。仕事や恋をしながらも目を背けたくなるような日常の現実や己ではどうにもならない理不尽なトラブルなどリアリズムに満ちた演出と福山翔大が演じる壮平のMMAの迫力溢れるファイトなど、Z世代の不都合な日常を具現化とも令和のニッポンを揶揄したとも見れるヒューマンドラマである。

(C)2024 The Young Strangers Film Partners

ストーリーはバーと工事現場の仕事をしながら認知症の母親と暮らす彩人のエピソードに時折幼少期の家族のエピソードや恋人の日向の看護師として働く日常、壮平のトレーニングなどを群像的に映す。その中で、やや重めの認知症というか精神疾患を患う母親の奇行とそれに振り回される彩人のシーンを見せるが、それは一切解決・改善しないので、ストーリーが停滞しているようにも感じられる。

(C)2024 The Young Strangers Film Partners

映画のキーになるのは中盤で彩人にふりかかるあるトラブルと後半の壮平のMMAの試合で、それぞれ単体のエピソードとしてはよく出来ている。特にMMAの試合はまさしくそれそのもので、スカッとする生々しいファイトが楽しめる。

(C)2024 The Young Strangers Film Partners
(C)2024 The Young Strangers Film Partners

しかしながら、彩人のトラブルについては正直腑に落ちない部分が多い。その過程ではその結末になるのが不可解。だが、その不可解さこそが理不尽な運命と考える以外ない。

 

一見、各エピソードに繋がりがなく、一つの映画としては非常に纏まりが悪いが、その纏まりの悪さこそに令和の今を生きるリアリズムと考えれば少しは納得出来る。各問題の放置っぷりを今のニッポンを合わせ鏡で映したのかな、と考えればニヤリと出来るヒューマンドラマである。

(C)2024 The Young Strangers Film Partners
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