カッツ
2025/11/03 07:47
復習するは我にあり
実際に起きた連続殺人事件をもとにしたノンフィクション小説を原作に、今村昌平監督が映画化した社会派ドラマである。
物語は、九州、浜松、東京を舞台に、詐欺と女性関係を繰り返しながら五人を殺害した主人公の生い立ちから死刑執行までを描いている。主人公を演じる緒形拳は、冷酷さと人間的な弱さを併せ持つ複雑な人物像を見事に体現しており、まさにこの役にふさわしい存在感を放っていた。
父親役の三國連太郎は、敬虔なクリスチャンとしての信仰と、息子との関係に揺れる内面を静かに演じ、嫁役の倍賞美津子、小川真由美演じる宿の女将など、脇を固める俳優陣もそれぞれに深い陰影を与えている。
露天風呂での倍賞美津子と三國連太郎の絡みは日本映画史に残るシーンだった。
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