『HOW TO HAVE SEX』求めていたものは"求めていたもの"だったか
こんにちは!
そぜシネマです。
『映画×旅』をキーワードに国内・海外問わずテーマを決めて世界中の世界遺産と映画ロケ地を巡るのをライフワークにしています。
『今日何観よう?』のお手伝いができるように
お茶の間や映画館からつながる良質映画を厳選紹介しています。
オンライン試写会に招待いただく機会をいただき、一足先に観てきました。
観た作品はコチラ!
あらすじ
タラ、スカイ、エムの3人は、卒業旅行にパーティー島のギリシャ・クレタ島へ。それぞれの想いを胸に降り立つが、タラのミッションは”初体験”。そんな中ホテルのベランダで同じく旅行に来ていた若者と出会い、バーやクラブ巡りを通じて親密になっていくが。彼女の欲しかったものは得られたのか。
所感・みどころ
非常に洗練された『ひと夏の恋』もの。
モリー・マニング・ウォーカー監督による長編デビュー作で、2023年5月に開催された第76回カンヌ国際映画祭にて【ある視点部門】最高賞を獲得したシンデレラムービーでもある。
よくある『リゾート地で出会い、次第に惹かれ合い、求めあい、最後はお互いの日常に戻っていく』
のような典型的リゾラバストーリではなく、もっと深い心理までダイブしているのが印象的。
テーマは【同意無き性行為の受け止め方】
タラは一人だけ未経験だったので今回の旅でなんとしても初体験をしたかった。
ただ、どんな手段でもしたかったわけではなく、やはり素敵な出会いがあり、関係を深めた上で双方合意の上で達成したかったはずだ。
そんな中、マインドも成熟していない思春期真っ只中のティーンエイジャー達がお酒をあおり、連夜パーティーに出かける中で自分のポリシーを貫き通すのは難しい。
その時の適切な判断ができない中、身体はNOと言っていても、会話ではYESと言わざるを得ない状況になってしまい、その過ちは時間が経って次第に気づき始める。この苦い経験が彼女の後の人生を大きく左右するものになっていくが、そこで踏ん切りをつけてくれたのは親友の存在であり、友情の大切さもしっかりと伝えてくれる。
今は誰もがセックスについてネット検索でき、活字・動画を自由に取得できる時代で
誤った(偏った)性認識を持ったまま上述の羽目を外した状況になることで、恋愛orレイプの境界があいまいになり、結果望まない妊娠などの社会問題が深刻になっているという。
本作はこのようなティーンエイジャーにおける性教育の大切さについて、重要な提言をしてくれていると思う。
私も若き頃はクラブ大好き人間だったが、あの爆音でみんなとはしゃいでいる中、
「自分は今何をしていて何を期待しにやってきて、何に焦っているんだ。」
とふと我に返る瞬間が多々あった。
そして無事(!?)帰路につく時の満足感・疲労感の裏側で『何もなかったな。。』
と非日常の世界で成し遂げれなかった”何か”を悔やむどこか寂しい気持ち。
そんな淡く切ない気持ちをこの映画は代弁してくれているのが共感を生み、カンヌでの快挙に繋がったと思う。世界中の人類みな思うことは同じなのです。
未成年の方は絶対観て欲しいし、社会人なりたての新入社員も仕事も慣れて羽目を外し出す絶妙な時期なので大切な人と観ることをオススメしたい。
『HOW TO HAVE SEX』は7月19日、全国公開です!
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
7 月 19 日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、
シネマート新宿、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
©BALLOONHEAVEN, CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION,
THE BRITISH FILM INSTITUTE 2023
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
過去のコラムはこちらのバナーをクリックするとみれます。