カッツ
2025/12/14 07:40
ブルックリン
2015年/アイルランド=イギリス=カナダ合作/監督:ジョン・クローリー
1950年代の不況下のアイルランドからニューヨーク・ブルックリンへ移民した若い女性の物語を描いたドラマ映画である。主人公は、異国の地でホームシックに苦しみながらも、職場や独身寮で周囲から愛される存在となり、やがて一人の男性と出会い、結婚へと歩んでいく。
作品全体には「古き良きアメリカ」の雰囲気が漂い、観る者に懐かしさを感じさせる。移民が夢や希望を抱いて新天地に渡り、幸せをつかもうとする姿は、同じく移民を題材にした映画『わが心のバルチモア』とも重なる。アメリカには、移民が未来を信じて歩み始めることのできた時代が確かにあったのだと実感させられる。
現代の日本にも多くの移民が暮らしているが、彼らもまたこの映画の主人公のように、新しい土地で希望を抱きながら生活しているのだろうか。『ブルックリン』は、移民の物語を通じて「故郷を離れて生きることの切なさ」と「新天地での希望」を同時に描き出し、観る者に普遍的な問いを投げかける作品である。
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