J.T.Hammer
2025/08/17 19:10
我が愛しきレア・セドゥの幸運を呼ぶ隙っ歯
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【2025-No.40】
フランス
フランス・ドイツ・イタリア・ベルギー
133分 2021年

先日更新した「ラストタンゴ・イン・パリ」記事執筆でホセ・メンドーサと戦った後の矢吹丈の如く真っ白に燃え尽きたため、今回は短評にて現在活躍する女優のなかで私が好きなレア・セドゥ主演作のレビューを記します
ブルジョワ女性が自分の起こした事故をきっかけに精神不安定となる話を中心にTVの政治番組でキャスターを務める彼女が行う突撃ルポの内幕などを絡ませた展開自体はなかなか良いと思うが、劇中で描かれる様々なエピソードが線ではなく点になってしまい、ひとつの物語として見ると散漫な仕上がりになったのは些か残念だ。特に主人公フランスを襲う悲劇のパートは当事者たちが一体何の目的で何処へ向かっていたのかが言及されておらず、まるで取ってつけたかのような印象しか抱けなかった
仕事上の或る重大な失態によりキャスターから三面記事的リポーターへ左遷されたフランスがそこで初めて真実を追求する本当の意味でのジャーナリストたる姿勢へと転換したのは皮肉な話である
ラストにおいてフランスが浮かべる笑みの意味は色々と解釈出来そうだが、私は欺瞞と悪意に満ちた世の中で彼女が生き抜く強さを身につけた証と受け取った
車中でフランスが悲しみを顔一杯に表して泣く際(しかもクローズアップで)のレア・セドゥの演技が大変素晴らしい。あんな表情で涙を流せる俳優は男女問わず世界中を探してもそうはいないだろう
蛇足ながらフランスの夫に扮する俳優がベニチオ・デル・トロと柴俊夫を足して二で割ったみたいな顔をしていた(最初に彼が登場したとき本気でベニチオが出てるのかと思い、レアとベニチオが好きな私はフレンチ・ディスパッチに続く共演かと勇み足で喜んでしまった...)
本記事のタイトルについて
欧米、特にフランスでは前歯の隙間は幸運を呼ぶとして有名人でも矯正を施さないケースが多くレア・セドゥもそのひとり。他にマドンナなどもよく知られている
★★★★★★★☆☆☆

原題 France
監督 ブリュノ・デモン
脚本 ブリュノ・デモン
撮影 デイヴィッド・シャンヴィル
編集 ブリュノ・デモン
出演 レア・セドゥ, ブランシュ・ガールディン
公開 2021.08.25 (仏)

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