碧血剣
金庸の小説の中でも歴史的な要素が強い作品として知られる。主人公の父親である袁崇煥、農民反乱軍を率いる李自成、清のホンタイジなどの明朝末期に実在した人物。

時は17世紀前半。
明の将軍・袁崇煥は、猜疑心の強い皇帝・崇禎帝に無実の罪で処刑されてしまいます。
その息子の袁承志は、家臣たちのおかげでなんとか生き延びることができました。
そして、山に籠って武術の師匠の下で修行に励み、父の仇討ちを誓うのでした。
12年後、全ての技を修得して下山を許された承志。

かつての父の部下たちと合流した途端、皇帝直属の部隊が襲いかかります。
承志は修得した技を駆使して戦いますが、崖に追い詰められ、谷へと転落してしまいます。

一命をとりとめた承志は、谷底の洞窟の中で白骨化した遺体を発見。
それは、武芸の達人・金郎蛇君の遺体で、傍らには遺書の他、武術書や金蛇剣、宝の地図が遺されていました。
承志は、その武術書「金蛇秘笈」から新たに武芸を修得していきます。

そしてその遺書に従い、遺骨を埋葬し、宝の地図を浙江に住む温儀という女性に届けることに。
その頃、明では困窮した農民たちが反乱を起こすようになっていました。
反乱軍のリーダー・李自成に軍資金を運ぶ役目を請け負った安小慧たちは、その道中で盗賊団に襲われてしまいます。苦戦していると、武術に長けた男装の美女が助太刀してくれました。
しかし、男装の美女は彼らを助けるふりをして、なんと軍資金の入った包みを持ち去ってしまったのです。

一方、承志は浙江に向かう船に乗っていました。
その船上で温青青という青年と知り合います。
この青年こそが、農民反乱軍から軍資金を奪った男装の美女だったのです。
そのため船は、青青を追ってきた盗賊団に襲われてしまいます。
盗賊団の頭領と一騎打ちをした承志は、彼らを見事に追い払うのでした。
下船後、助けてくれたお礼として、持っていた金の一部を承志に渡して立ち去った青青。
承志はその金を返そうと青青を追いかけると、

大地主・温家の屋敷に着きました。
温家に泊まることになった承志は、青青が男装した女性だとは気付かず、義兄弟の契りを交わします。
金郎蛇君の生前の因縁を辿ることになった主人公が、明朝の滅亡に関わるという壮大な物語を描いた本作。CGを多用せず、生身の人間が繰り出す迫力満点のアクションシーンの数々は必見です!
乱世を真っ直ぐに生きる青年の人生、最後のモヤモヤしたやり切れない心情を見事に表現しています。