私の好きな映画

世界の黒沢が描く現代の雲のなか「CLOUD」

黒沢清監督「CLOUD」

なぜ、菅田将暉は銃を持っているのか?

 

このビジュアルがずっと疑問でした。

 

菅田将暉はクリーニング工場で働く青年で、転売屋をやっています。

ネットオークションで仕入れた商品を転売するのが

彼の日常です。

 

なんでこんな人間が銃を持っているのか?

だれに向けているのか?

 

黒沢清監督、特融の無機的な人物描写で淡々と進みます。

なかなかその問いは不明のまま、

彼に絡む人物たち、現れていきます。

 

工場の主任?・・・荒川良々

恋人・・・古川琴音

先輩らしき男、おなじく転売屋・・・窪田正孝

ネットカフェ暮らす・・・岡山天音

菅田将暉に雇われる男・・・奥平大兼

 

あと数人でてきますが、

これらの人間が菅田将暉に絡んできます。

 

 

独特のサイコサスペンスへ

具体的な背景、説明なくストーリーは進んでいきます。

描くのはネット社会の闇、その産物…

 

PCあれば商売ができ、見知らぬ者たちとつながっていく。

その匿名性ゆえの集合体では、なんら善悪、倫理や道義などなく、

そこに参加したものは損をい、傷つき、破綻していくーーー

そんなマイナスの自分たちで繰り広げられます。

 

それはやがて、

狂気の世界へ誘っていきます。

 

ここはさすがに世界的に評価された監督の手腕が発揮され、

見事なカメラワークです。

邦画で(特にテレビ局がつくる凡作においてみられる

不用なカメラワークは一切排除されていました。

 

また音楽もほぼかかることなく、

日常の騒音=ノイズを多用しています。

 

いよいよクライマックスに進むとき、

どんよりとした音楽が流れ、映像と同調しています。

 

スクリーンでないと、この異様さはなかなか理解しにくいのでは

ないかと思いました。

 

デジタルデバイスを拳銃に

冒頭に記載した菅田将暉は、どうして拳銃を構えてのか?

ここに作者の意図を感じます。

PC,モバイルでつながった関係性は

サイバー上でやるように、ゲーム感覚で

殺し合うと・・・そう感じました。

 

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