カリントウエストウッド
2025/06/27 10:01
世界の黒沢が描く現代の雲のなか「CLOUD」
黒沢清監督「CLOUD」
なぜ、菅田将暉は銃を持っているのか?

このビジュアルがずっと疑問でした。
菅田将暉はクリーニング工場で働く青年で、転売屋をやっています。
ネットオークションで仕入れた商品を転売するのが
彼の日常です。
なんでこんな人間が銃を持っているのか?
だれに向けているのか?
黒沢清監督、特融の無機的な人物描写で淡々と進みます。
なかなかその問いは不明のまま、
彼に絡む人物たち、現れていきます。
工場の主任?・・・荒川良々
恋人・・・古川琴音
先輩らしき男、おなじく転売屋・・・窪田正孝
ネットカフェ暮らす・・・岡山天音
菅田将暉に雇われる男・・・奥平大兼
あと数人でてきますが、
これらの人間が菅田将暉に絡んできます。

独特のサイコサスペンスへ
具体的な背景、説明なくストーリーは進んでいきます。
描くのはネット社会の闇、その産物…
PCあれば商売ができ、見知らぬ者たちとつながっていく。
その匿名性ゆえの集合体では、なんら善悪、倫理や道義などなく、
そこに参加したものは損をい、傷つき、破綻していくーーー
そんなマイナスの自分たちで繰り広げられます。
それはやがて、
狂気の世界へ誘っていきます。
ここはさすがに世界的に評価された監督の手腕が発揮され、
見事なカメラワークです。
邦画で(特にテレビ局がつくる凡作においてみられる
不用なカメラワークは一切排除されていました。
また音楽もほぼかかることなく、
日常の騒音=ノイズを多用しています。
いよいよクライマックスに進むとき、
どんよりとした音楽が流れ、映像と同調しています。
スクリーンでないと、この異様さはなかなか理解しにくいのでは
ないかと思いました。
デジタルデバイスを拳銃に
冒頭に記載した菅田将暉は、どうして拳銃を構えてのか?
ここに作者の意図を感じます。
PC,モバイルでつながった関係性は
サイバー上でやるように、ゲーム感覚で
殺し合うと・・・そう感じました。
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