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【ネタバレ】『The First SLAM DUNK』の舞台裏が目から鱗で尊敬する映画っ子の話

9月24日(日) ※ぜひコメントや感想お待ちしてます!


 最近、他人の気持ちってコントロールできないのわかってるけど、自分の気持ちのコントロールも難しいなって思う映画っ子です。#何があった #感情のコントロールは得意です

 


さて。

 


今日は今年映画っ子が、ハマりにハマった映画『THE SLAM DUNK』がCG WROLD 2023年6月号(No.298)に大特集があったので、その感想を書いていきたいと思います。

 

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※映画をこれから見る方、CG WORLDをこれから読む方、ネタバレになりますのでご注意ください。また長文で専門用語も多いのでご容赦くださいませ。
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▼ 物語的にも映像的にも熱いスラダン!


ほとんど事前の宣伝されていなかったのにも関わらず、公開から2日間で観客動員数が84.7万人・興行収入が12.9億円を突破。そのまま公開から2ヶ月で興行収入100億円を突破し、中国や韓国でも、歴代日本アニメの記録を次々と塗り替えたスラダン。#宣伝なしって最近多いけど普通の人がしたら怪我するよ  

 

 
バスケが好きなわけでもなく、スラムダンクの漫画を読んだこともない私が、劇場に5回も見にいきました。#久しぶりの劇場リピート作品 #グレイテストショーマンの6回が最高記録 #原作ファンの皆様すみません

 


そんな中でCG WORLDで55ページに渡る大特集をしているのを見つけました。スラダンの「何が」すごいのか、具体的に語り尽くされていて、この雑誌を読んだ上でもう一度見に行くとさらにやばいです。#語彙力

 

 



▼ 原作・井上雄彦自らが監督および脚本を務める


井上雄彦が監督と脚本をし、現場では自らの手も動かすことで「方向性を間違えずに再現なくこだわる」ことが、ここまでのクオリティを出せた勝因だという。#クオリティでぶん殴る系映画

 

 

 

▼ 映画「スラムダンク」制作の特徴


・井上監督の今の絵柄に寄せたキャラクターモデリング
・キャラクターらしさの再現と量産化を実現した仕込み
・今の井上監督ならどう描くかバスケのリアリティを追う
量産とこだわりを両立した制作ツールの開発と工夫
シュミレーションと視覚効果の効率化とこだわり
・セルでもなくCGくさくもなく新しいルック
大規模大容量のデータの効率的な管理システム
・新しいシーンは井上雄彦直々のネームによるコンテ

 

 

 

 

▼ 制作当初から覚悟を決めたコンテ作成


全編の大半を占める試合シーン、山王戦。まず最初に「コンテ」は絵コンテでもVコンテでもない。#コンテとは、動画のカット割やカメラワーク、編集ポイントなどの細かい指示を書き込んだ設計図

 

 

プレイヤーの動きのモーションキャプチャーを行い、プレイ全てをCGプリビズ映像で再現。このプリビズ映像からシナリオムービーを作成。この初動があったことで、より空間を意識した画づく理、カット割り、まるで試合の中から見てるような近さとリアリティを表現できた。#ふつうモーションキャプチャー収録は工数もコストも莫大なので、コンテ段階でやることは少ない

 

 

モーションキャプチャーとは

XR-HUB

 


コンテ段階から、キャプチャ施設で17日間に及ぶ大掛かりな収録を行う。施設ではViconカメラ48台を導入し、モーションキャプチャー10人同時収録が行われたそう。#カメラの台数半端ない #10人同時収録できる施設も日本ではレアケース

 

 

プレイ中に密になる場所になるべくViconカメラを設置しましたが、10人のモーションキャプチャーは、どうしてもロストマーカーが発生してしまいます。ここの処理を手付けでする覚悟を持って取り組んだ姿勢がもう熱いです。#カメラの設置も検証を重ねる #データが取れなかった部分を手作業でCGつけるの超大変



連日長期間撮影によるタスクや作業も膨大で、機材の暖気、毎朝のキャリブレーション、スーツの洗濯、データの整理、スケジュール管理はすでに膨大。#制作チームの見事な連携に同じ職種の映画っ子は尊敬しかない

 

東京新聞

 

収録はワンプレイ(攻守の切り替わり)でのカット割をし、また大規模な試合シーン以外は簡易的な場所で収録できるMNV(簡易的なモーションキャプチャー)での撮影も組み合わせたそう。特にハイタッチなどのこだわりのシーンは、MNVで何テイクも時間をかけて収録することで、効率とこだわりのバランスをとったそうです。MNVとは



プリビズ映像からどのカットを採用して繋ぐか検討を重ねること、3ヶ月。そこから新規カットのつながりや、プレイのスピード感、観客視点のプレイのリズム感、さまざまな検証が行われて、シナリオムービーが完成したそうです。#最初から本気度が違うんだよなぁ 



シナリオムービーを作成する際にスタッフたちは井上雄彦の

「見えすぎない、見せすぎない」

「客観的に見えるように」

「早いカット割、画角外にしてあえて一瞬見せない」

などのキーワードを指針に、一つ一つ検証していったそうです。#この言葉のニュアンスを読み取って作品に落とし込むプロ集団

 

 

 

▼ キャラクターモデリングへの再現なくこだわる姿勢


キャラクターモデリングは2014年から開始。当初は井上雄彦が参加していなかったので、スタッフたちは根っこの強い方針がなく苦戦。その後、井上雄彦がジョインすることで大きく進み、途中では3Dフィギュアプリントして、製作陣へのプレゼンの際に判断材料として制作したりもしたそうです。

 

 

表情はもちろん筋肉や指の動き、服の動き、髪の動き、それぞれに補助骨を入れてよりリアルさを追求して行きました。特に頭の部位によって髪の可動領域を調整したり、部位によって筋肉の見え方やニュアンスを変えたり。最終的にキャラによっては1人につき120体くらいのパターンを使い分けていたそう。#1人につき120パターン3Dモデルつくるの異常です #いい意味で

 

 

また本編の中にあるバストアップ以上のカットは、全て井上雄彦自身の手で加筆しており、通常の商業映画では複数人の作画監督がこなす仕事量を、井上雄彦監督1人でこなすほどだったそうです。(2305カットという通常の映画よりも遥かに多いカットのうち、500カット以上に自信の手で加筆)#井上雄彦の覚悟が見える

 

 

今回、劇場版ではフルアニメーションではなく、2コマ打ち採用で制作を進めました。また動きによっては1コマ打ち-3コマ打ちを使い分けるこだわり。最終的にアニメーションは2305ショットですが、その裏には平均テイクは17.5回、合計4万テイクにおよぶ膨大な作業量が隠されています。

 

 

 

▼ ルックにこだわる姿勢


3DCG内で画づくりを完成するのではなく、30種類以上の素材をレンダリングしてAEで組み上げていくルックデヴが採用されています。筋肉の陰影だけ描いたテクスチャ素材、タッチの素材、キャラの関係だけのオクルージョンの素材。あのルックを成立するためにたくさんの素材を重ねています。#この作業も異常すぎる #一言で言うとえぐいです



当初モデリングはセルルックで進めていましたが、井上雄彦の「新しいが目に馴染むもの」「ガサガサ、再度低く、さりげなく、汚くなく汚す」などのキーワードを指針に、2年以上費やして細かい試行錯誤が行われました。最終的にハーモニー処理のようなルックになりました。#このルックはこだわり抜かれてる #漫画すぎずアニメーションすぎず #劇場版スラムダンクルック



またハーモニー処理になったことで、境界線の「線」の表現もこだわることになります。部位によって線からグラデに馴染む場所があったり、カメラとキャラ(被写体)の距離によって線の太さを変えたりライン自体もノイズが乗った手書き感のあるテクスチャなど、ひたすらルックをこだわっているそう。
 


手書き感を増すためにコンポジットブラシタッチ素材も、部位ごとに入れ込んであったり、キャラクターの腕の左右でも、ラインの太さやタッチを変えたり#ここまでくるともう職人技に近いものを覚える #商業映画ではなくアート作品か

 

(c)I.T.PLANNING,INC.(c)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 

 

 

▼ 膨大な作業量、膨大なデータ量、膨大なスタッフ。


膨大なデータや作業量を効率化させることも、このプロジェクトが破綻しないための、そしてこのクオリティを安定して全編におよび担保するための課題。

 



①コンポジットベース

効率化に大きく貢献した開発ツールのなかにコンボジットのベースをつくり、レンダリングした素材と差し替えて、ShotGridにアップするまでの一連をシステム化したツールがある。このツールおかげで2305カットという膨大な量にも関わらずこのクオリティを量産できた。



②CG上に手書きのタッチを加えるツールの開発

これにより井上雄彦監督自身が500カットに加筆することが可能なり、クオリティが大きく向上。また背景や床面などの情報をカットして、よりキャラクターに視点を誘導する漫画的処理をCG上で成立させたことも革新的でした。#井上監督はあくまで2Dの漫画家であり3Dソフトでは書かない

 

 

③井上雄彦のハッチングの再現

もう一つ井上雄彦のために開発されたと言っても過言ではない、井上雄彦の独特のハッチング(複数の平行線を描き込む表現)のタッチを、アニメーションでも再現するためのツール開発も行われた。あるフレームで2Dのタッチを書くと、他のフレームでも3Dモデルに沿ってタッチ線が描かれる、そのおかげでより少ない手数で、画から浮くことなく更新が可能になりました。
 


④汗の表現

試合中のキャラクターの迫力で印象的だった汗の表現について、アニメーターがつけたアニメーションに対して、自動で汗のシミュレーションをしてキャッシュを出す機能のツールも開発された。

 

 

⑤素材の共有

クラウドから更新された素材や構成、内容について、更新があれば自動的にダウンロードされる仕組みを作る。またクラウドでのやり取りで各社間PMを挟まずにアーティスト同士でのデータのやり取りを可能にすることで、作業量や手数を減らし効率的に制作進行しました。#数社のアニメ制作会社で共同制作するときの、情報共有ラグが命取り

 

 

⑥情報共有も効率化ツールの開発

膨大なデータ量の中で、どのショットがどんな修正が発注されていて、どんなステイタスなのか、管理しコントロールするのは難しい仕事の一つ。特に外部企業との情報共有にはどうしても時間のラグや伝言ミスができてしまいがちです。そこでレビューコメントの一覧が見れるShotn Reviewを活用しながら、各ショットのサムネイルにリテイク内容やステイタスを反映し、Shot Gridで共通認識としてリアルタイムで共有できるシステムを開発。

 

 

 

 

▼ 作品そのものに、制作背景に、ワクワク


制作背景について詳しく知ることで、同業者としても感嘆してしまうし、こだわりポイントに着目して見直したくなります。クオリティ面でも、制作過程でも、日本のアニメーション業界を揺るがす作品なのは間違い無いです。#見てない人はぜひ見て! #定期的に映画館でかけてほしい

 

(c)I.T.PLANNING,INC.(c)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

 



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