映画の創成期が生み出した大傑作
イントレランス (1916年・アメリカ、モノクロ、162分)
監督:D・W・グリフィス *サイレント映画
「國民の創生」(1915年)と並び、映画史にその名を刻むD・W・グリフィス監督の超大作。
本作は、<現代アメリカ編>、<ユダヤ編>、<中世編>、<バビロン編>と、4つのエピソードが同時進行で描かれ、イントレランス(不寛容)から起こる悲劇を見事に表現している。
特に<バビロン編>における巨大セットは必見で、1キロ以上の敷地に100メートル近い高さで築かれた城壁は驚嘆に値する。
<現代アメリカ編> 労働者階級の1組のカップルの受難を描く。
1916年のアメリカ。人間性向上を訴える女性運動家たちが、地元の工場主に資金援助を求めた。工場主はその資金を工面する為、従業員の賃金をカットした。従業員たちはストを決行したが武力で鎮圧されてしまう。 ‘可愛い人’(メエ・マーシュ)は、職を失った父親と新たな土地へ移る。やがて彼女はギャングのボスの手下の青年(ロバート・ハーロン)と恋におち結婚。青年はボスと手を切るが、罠にはまり、無実の罪で投獄の身となる。ギャングのボスが ‘可愛い人’ に接近してくるが、ボスの愛人である ‘孤独な女’(ミリアム・クーパー)がそれを目撃していた。彼女もまた工場での職を失った者だったが...。
<ユダヤ編> キリストの受難を描く。
古代のエルサレム。ガリラヤではパリサイ人(ユダヤ教の一派で偽善者とされる)による信仰が浸透していた。彼らが道端で祈りを捧げるとき、周囲の者たちは動きを止めなければならない。やがて数十年後、イエス・キリスト(ハワード・ゲイ)は水をワインに変える最初の奇跡を見せ、民衆の信仰心はキリストに傾いていく。キリストは姦通を働いた女を助けるが、戒律を重んじるパリサイ人から軽蔑の目で見られるキリスト...。
< 中世篇 > 聖バルテルミーの虐殺を描く。
1572年のパリ。カソリック派とユグノー派 (当時のプロテスタント派)は内乱状態であった。国王シャルル9世の母后カトリーヌは、敬虔なカソリックであるため新教徒ユグノー派の存在が忌々しい。しかし国王の妹マルグリットと、ユグノー派のアンリ公を結婚させることでこの宗教的対立を解消しようと試みる。だが宗教対立は激しさを増し、惨殺が繰り返される悲劇となる。
< バビロン編 > バビロンの崩壊を描く。
紀元前539年、ベルシャザル王時代のバビロン。城門から、女神イシュタールの像がもうすぐ運ばれてくることが、ライバル神ベルの神官は気に食わなかった。像を一目見ようと集まる人たちの中に、ヒロイン ‘山の娘’(コンスタンス・タルマッジ)がいる。気性の激しい ‘山の娘’ に手を焼いている彼女の兄は、裁判官から ‘「花嫁市場」に出して結婚相手をみつけるように’ と諭される。だが ‘山の娘’ には、持参金を吊り上げても買手が現れなかった。その時、ベルシャザル王が現れて彼女に恋愛・結婚の自由を与える印章を授けた。 ‘山の娘’ はペルシャザル王に永遠の忠誠を誓うのだが...。
4つのエピソードを結び付けるのは、「ゆりかごを揺らす女」。
全編に渡って象徴的なシーンで、ゆりかごを永遠に揺すり続ける母親のイメージとなっている。
演じているのは、クレジット1位のリリアン・ギッシュで、グリフィス作品の常連女優だ。
さらにメエ・マーシュ、ヴェラ・ルイス、ミリアム・クーパー、ベッシー・ラヴといった往年の名女優が顔を揃えている。
D・W・グリフィスは「國民の創生」の大ヒットで得た報酬を本作へ大投資、何千人にも及ぶエキストラ、絶妙なカメラワーク(気球を上げて撮影)、凝りに凝った小道具など、あらゆる角度から見どころの多い傑作となっている。
冒頭の字幕では、次のように紹介されている。
‘ この作品は、4つの異なる時代の、異なる人々の物語から成る ’
栄華を誇った時代も、やがて崩壊していく...。
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投稿を表示こんにちは。
ディスカスのレビューで洋画さんが大傑作と書かれていたのでリストにはイン済です。
早く見たいですが、旧作の借り放題が終了してしまった今、旧作レンタルはどうしても後回しです。
これも配信では決して見れない作品なのですよね。
若き日のリリアン・ギッシュを早く見たいと思っています(^^♪
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