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2025/07/27 16:32

電送人間

電送人間

 1960年 東宝 劇場公開:1960年4月10日

スタッフ 監督:福田純、製作:田中 友幸、特技監督:円谷英二、脚本:関沢新一

キャスト 鶴田 浩二、白川 由美、河津 清三郎、土屋 嘉男、中丸 忠雄、平田 昭彦、佐々木 孝丸、

     田島 義文、村上 冬樹、堺 左千夫、天本 英世、松村 達雄、沢村 いき雄 ほか

第一の殺人事件は遊園地で起った。被害者はブローカーの塚本、犯人の姿は確認出来なかった。東都新聞の科学担当記者桐岡は、犯人の遺留品の中に小さな針金状の物体を発見し、事件に興味を抱いた。工業大学の三浦博士の話では、その物体はクライオトロンで、将来トランジスターにとって代るべき真空管の一種、精妙だが、ただ絶対温度四二度という低温を保たねばならないという欠点があった。桐岡の目前で行われた第二の殺人は桐岡の興味を深めた。被害者は軍国キャバレーの経営主の隆、旧陸軍の軍票にかかれた殺人予告状を握っていた。桐岡は同僚の小林警部と共に犯人を芝浦の倉庫に追いつめたが、火の手をあげて失せてしまった。焼跡からは不思議な円筒を廻転する冷却機械が発見された。桐岡は、軍隊時代に二人の被害者と同じ隊にいたという大西と滝を訪ねて、意外な事実を知った。終戦の時、軍の科学者仁木博士とその研究書類の隠とくを命ぜられた大西、滝、隆、塚本の四人は、書類と偽って金塊を隠したが、それに気づいた博士と護衛の須藤を生き埋めにした。しかし一年後、二人の死体は金塊もろとも消え失せていた。

監督の福田純。は、本作品で初めて特撮作品を監督した。もともと本多猪四郎が撮るはずであったが、他の作品の遅延で手が回らず弟子の福田純に監督が回って来たとのこと。トップスターの鶴田浩二が駆け出しの福田純監督のそれも低予算の特撮映画に出演したのは、人間関係に依るものとのこと。公開は1960年だから60年安保で騒然とした世相の中だったわけで、軍国キャバレーを悪役の経営の店に設定して、秘密兵器の電送装置と組み合わせて、戦前の悪夢が蘇ることへの世論の反発という当時の時代性を反映させているところはなかなか上手い脚本であります。

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