DISCASレビュー

『Shirley シャーリイ』（2020年、米国、原題：Shirley）は、ジョセフィン・デッカー監督による伝記サスペンス・ドラマ。エリザベス・モス主演で、ホラー作家シャーリイ・ジャクソン（1916-1965）の創作と私生活の闇を描く。シャーリイが夫スタンリー（マイケル・スタールバーグ）とバーモント州で暮らし、若夫婦のローズ（オデッサ・ヤング）とフレッドを家に招き入れる中、シャーリイの新作小説と現実が交錯し、心理的な緊張が高まる。エリザベス・モスの鬼気迫る演技が、シャーリイの神経症的な魅力と狂気を鮮やかに表現。1950年代の閉鎖的な雰囲気や、女性作家の葛藤を幻想的な映像で描き、ホラー小説のような不穏さが全編に漂う。ただし、シャーリイの実際の人生とは異なるフィクション寄りの展開が、伝記を期待する観客には物足りないかも。