カッツ
2025/12/26 07:52
孤狼の血
柚月裕子の小説を原作とし、役所広司と松坂桃李が主演を務める『孤狼の血』は、昭和末期の広島を舞台に、暴力団抗争と、それを食い止めようと奔走する刑事たちの姿を描いた作品である。近年では珍しくなった“本格やくざ映画”であり、昭和の名作『仁義なき戦い』シリーズを思わせる空気感が漂っている。
観ていると、まるで昭和に制作された作品かと錯覚するほど、映像や演出に当時の匂いが色濃く宿っている。しかし登場するのは現代の俳優陣で、そのギャップが逆に新鮮だ。役所広司の圧倒的な存在感と、松坂桃李の若さと緊張感がぶつかり合い、物語に強烈な熱量を与えている。
また、日本映画としてはかなりドギツイ描写も多く、暴力の生々しさや人間の欲望が容赦なく描かれている点も印象的だ。こうした“異色さ”が作品全体の緊張感を高め、観る者を物語の渦中へと引き込んでいく。
昭和のやくざ映画の伝統を受け継ぎつつ、現代の俳優と演出で新たな息吹を吹き込んだ、力強い一本である。
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