asahi
2025/07/23 21:06
アンダー・ザ・スキン
「アンダー・ザ・スキン」(2013年、原題:Under the Skin)のサウンドトラックは、ジョナサン・グレイザー監督による異色SF映画を支えるマイカ・レヴィの実験音楽的スコアが際立つ。スカーレット・ヨハンソン演じる異星生命体の視点を描いた本作で、レヴィの「Lipstick to Void」や「Love」は、微細なノイズと変調弦楽器によって、現実の歪みや人間不信を音に封じ込める。特に繰り返し鳴る不協和音は聴く者に不安と緊張を強要し、ストーリーの冷徹さを視覚に先んじて伝える。クラシカルな形式から逸脱したこのスコアは、映画音楽の枠組みを揺るがす革新性を帯びており、2014年のリリース盤(Milan Records)ではマスタリング精度も高く、単体でも強烈な存在感を放つ。難解だが中毒性のある現代音楽で、アート系SFやサウンド・デザインに関心のあるリスナーには刺さる一枚。
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