『爆弾』- これは『セブン』好きに捧ぐ戦慄。佐藤二朗が仕掛ける“3度”の密室ゲーム
映画『セブン』のような、あの息が詰まるほどの緊張感と、じわじわと精神を追い詰めてくるサイコパスの恐怖。もし、あなたがそんな世界観のサスペンスを求めているなら、この映画『爆弾』は必見です。
これは、3人の刑事が、一人の天才的なサイコパスに挑む物語。しかし、その構成は非常にユニーク。刑事それぞれが犯人と対峙するため、まるで3本の異なる映画を観ているかのような、3倍の楽しみ方ができる作品でした。
あらすじは、いざこざの末に逮捕された一人の男(佐藤二朗)。彼は「記憶を失うスキル」を持ち、さらに「爆弾」の存在をちらつかせて、警察を翻弄し始める。密室の取調室で繰り広げられる、息をのむ心理戦。警察は、この男の嘘と真実を見抜き、爆発を止めることができるのか。
3人の刑事、3通りの心理戦
本作の最大の特徴は、「三者三様」の対決です。 タイプの違う3人の刑事が、それぞれの手法で犯人に迫ります。しかし、犯人はその全てを巧みに手玉に取り、刑事たちは自らの感情をかき乱され、苦悩していく。その姿に、見ているこちらも緊張で心臓がドキドキしっぱなしでした。
観客が抱く、スリリングな「背徳感」
「次はどうなる?」「この刑事はどう攻略されるんだ?」 本来は大変な事件なのに、そう期待してしまう自分がいる。この、観客に「背徳感」すら抱かせる巧みなストーリーテリングは、まさに最高の一言です。
密室と現場の緩急、そして佐藤二朗の覚悟
物語の主軸は密室での心理戦ですが、それだけでは終わりません。 現場の捜査員たちによる、汗臭い「ファイトある行動」が同時進行で描かれます。この二つのパートがどう関わっていくのか、想像するだけでもワクワクする展開に目が離せませんでした。 主演の佐藤二朗さんが、「この仕事を受けるのに勇気がいった」と語るほどの難役。その覚悟が、安っぽさを一切感じさせない、重厚なエンターテイメントを完成させています。
映画館の暗闇で、この緊張感を浴びるべき
決して安っぽくない、骨太な映像と音響。この緊張感は、ぜひ映画館の暗闇で「監視」するように集中して「鑑賞」してもらいたい作品です。