k.a
2026/01/21 07:31
運び屋
『運び屋』は、私にとってクリント・イーストウッドの円熟した魅力が全開で、何度観ても心に染みる作品です。90歳近い孤独な老人アールが、破産寸前の花屋を救うために「ただ車を運転するだけ」の仕事に手を出したら、それが実はメキシコの巨大麻薬カルテルの運び屋だった、という実話ベースのストーリー。最初は「イーストウッドが麻薬運び!?」って衝撃だけど、観ていくうちに彼の飄々とした態度と、どこか憎めない人柄に引き込まれちゃうんですよね。
アールは頑固で昔気質、スマホなんて使えないって文句言いながらも、仕事は淡々とこなす。カーステレオで鼻歌まじりに運転して、若い女性たちと戯れて、カルテルのボスにさえ気に入られる姿が、もう最高にチャーミング。イーストウッドのあの渋い表情と、歳を重ねた体でゆっくり動く仕草が、完璧にハマってる。家族をないがしろにしてきた過去の後悔が、徐々に金銭じゃ埋められないものだと気づいていく過程が切なくて、胸が締め付けられます。特に元妻の最期のシーンや、娘との再会は、静かに涙がこみ上げてくるんです。
ブラッドリー・クーパー演じる捜査官との対比もいい味出してて、追い詰められていく緊張感はあるけど、全体的に重くなりすぎず、ユーモアと優しさが混ざってるのがイーストウッドらしい。人生の晩年に「家族が一番大事だった」って気づくテーマは、普遍的で心に響くし、アールみたいなダメ男でも、最後に少し救われるような後味の良さが心地いいんです。
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