宇宙大戦争

製作 田中友幸 原作 丘美丈二郎 脚本 関沢新一 監督 本多猪四郎
音楽 伊福部昭 特技監督 円谷英二
出演 池部良 安西郷子 千田是也 土屋嘉男 伊藤久哉 高田稔 村上冬樹 桐野洋雄 野村浩三
レン・スタンフォード ハロルド・コンウェイ ジョージ・ワイマン エリス・リクター 他
宇宙ステーションJSS-3が突如襲来した怪円盤群の攻撃を受けて破壊される。







東海道線上り特急が鉄橋もろとも空中につり上げられ、破壊されるという怪事件が起った。これをはじめとして、世界各国ではこの種の事件が次々と発生した。東京の宇宙科学センターに集った世界の科学者たちによって、地球外の生物が発射する「冷却線」による物体の冷却と無重力化がその原因と判明した。
これに対抗できるのは、まだ発明間もない「熱線砲」だけである。安達博士、勝宮、岩村両少壮科学者等は、早速宇宙センターで「熱線砲」の実験を公開した。
ところが、その席上アーメッドという某国教授が、急に「熱線砲」を奪おうとした。勝宮の機転でそれが失敗すると、異様な円盤が現れて教授の肉体を瞬事に融かして去った。後には一片の金属板が残された。脳にこの金属板を移植され、教授は宇宙人の指令を受けて動いていたのである。
魔手は次に岩村にのび、彼も金属板を移植されてしまった。
一方、月の裏側に基地を作って、地球攻撃を計っているのが明らかになった。宇宙人ナタールに対して地球防衛軍は反攻体制を作った。原子力ロケット・スピップ二機が「熱線砲」を積んで出発した。安達博士や、勝宮、岩村、勝宮の恋人の科学センターに勤める白石江津子等がそれに乗りこんでいた。
ナタールの宇宙魚雷による攻撃に調査隊は迎撃するが、それを出発前夜のドライブ中にナタールに洗脳されていた岩村が妨害する。辛くも攻撃をかわした一同に、ナタールは「これ以上接近すると命の保証はない」と無線で警告する。
だが、調査隊は目的を達成すべく月面に強行着
陸すると、やむなく岩村を拘束して探査艇に残
し、月面探検車でナタールの前線基地へ接近する。前線基地には多数の円盤が待機し、地球侵略の準備を完了していた。
そのころ、ナタールの命令で拘束ベルトを解いていた岩村は、機関室の燃料弁と酸化剤タンクを全開してスピップ1号を爆破する。


調査隊は安達博士と勝宮が操縦する月面探検車
の熱線砲による攻撃を開始し、激しい光線の撃ち合いの末に前線基地の機能を一時停止させることに成功する。その後、地球への帰路に就いたところでナタールの円盤群に追撃されるが、それを迎撃したのは月面探検車と、前線基地の機能停止によってナタールの洗脳が解けた岩村
だった。
小型熱線銃1丁で円盤群に立ち向かう岩村を残し、爆破をまぬがれたスピップ2号で一同は月面を脱出するが、岩村の犠牲的精神に涙しない者はなかった。

この事件は世界中に衝撃を与え、ナタールの前線基地復旧および地球総攻撃は時間の問題であり、全力をもって迎え撃つべきという世論が各国で高まる。その結果、熱線兵器を搭載した宇宙戦闘機と地対空熱線砲が量産され、対ナタール戦の準備が進められる。そして、ついに地球へ襲来するナタールの円盤群に対して人類は宇宙戦闘機を続々と打ち上げ、ここに決戦の火ぶたは切られた。
宇宙からの侵略者と人類の攻防を描いた『地球防衛軍』(1957年)の姉妹編的な作品
「物体の温度を急速に降下させると重力が減少する」「月面の一部にわずかながら大気の層が存在する」といった当時の仮説に基づく疑似科学的アイデアや、明滅発光しながら飛行するナタール円盤、隕石型の宇宙魚雷、エアークッション動力でホバークラフトのように滑走する月面探検車、熱線を発射して円盤と交戦するロケット戦闘機といった特撮メカの魅力をふんだんに盛り込み、「スター・ウォーズ」を先取りしたかのようなスピード感あふれる宇宙バトルを展開した快作ですね。
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投稿を表示本作は『地球防衛軍』と姉妹作品ということですが、こちらの方が地球側のテクノロジーも進歩していて宇宙戦闘機で宇宙空間まで打って出るということで若干、オフェンシブになっております。
で、くだんの宇宙戦闘機ですが、これが米国で極超音速飛行の実験を行っていたX15のデザインを元にしております。実機はB52改造機を母機として、そこから発進することで高度10万メートル以上、マッハ6以上の高高度極超音速飛行を行った機体です。
そういう機体だったので宇宙戦闘機のモデルとしてぴったりと思われたのではないかと推測します。
物語自体も『地球防衛軍』よりも戦闘場面に重点を置いた娯楽作品だったと記憶しています。東宝映画で、これ以降の宇宙を舞台にした作品はあまりなく『妖星ゴラス』という馬鹿SF(これは誉め言葉です。)くらいしか思いつきません。