衝撃のエンディングの代表作といえばこれ!
サスペンスの巨匠【アルフレッド・ヒッチコック】の最高傑作。
アメリカでの劇場公開時には、ラストの30分間、観客の途中入場が禁止された。
これはヒッチコック監督自身の指示によるもので、ラストシーンの驚愕は言葉に言い表せない。
「サイコ」(1960年・アメリカ、モノクロ、108分)
監督:アルフレッド・ヒッチコック


アリゾナ州の小さな町。不動産会社に勤めるマリオン(ジャネット・リー)は、金に困った婚約者サム(ジョン・ギャヴィン)のために、会社の4万ドルを持ち逃げした。途中で嵐になり、郊外の寂れたモーテルに転がり込んだ彼女は、そこの経営者ノーマン・ベイツ(アンソニー・パーキンス)に会った。ノーマンは内気そうだが親切な青年で、母と2人暮らしだと言う。マリオンは彼と話すうちに罪の意識に目覚め、金を返してやり直そうと心が揺れる。ところがその夜、シャワーを浴びている時に殺人者が現れる...

この映画は「恐怖映画」の革命と言っていい。
‘恐怖’ の対象は吸血鬼でもなければ怪物でもない。好青年の心中に巣喰う、想像を絶する「狂気」なのだ。
ラストシーンの、まさかの衝撃!
(未見の方のために)この真相は口が裂けても語れない!
この映画はウィスコンシン州で実際に起った、中年男性の殺人事件がモデルになっているそうだ。
ヒッチコックは原作を大幅に変え、主人公に繊細な二枚目の風貌漂うアンソニー・パーキンスを起用する。これが大正解だった。アンソニーはこともなげに「狂気」を演じきったのである。
アンソニー・パーキンス(1932.04.04 ~ 1992.09.12 / ニューヨーク生まれ)
彼は本作「サイコ」におけるノーマン・ベイツによって、映画史上に永遠に名を刻んだ。
ウィリアム・ワイラーの「友情ある説得」(56年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされてはいたものの、ヒッチコックとの出会いが彼をメジャー俳優に押し上げた。

映画でノーマン・ベイツがいつも飴をなめていたのは、不安な心理状態を表すパーキンスのアイデアだったらしい。
後に次々と作られた「サイコ」の続編にも出演したほか、「審判」(62年)、「パリは燃えているか」(66年)、「オリエント急行殺人事件」(74年)など、多くの名作に出演している。
1992年9月22日、家族に囲まれて息を引き取ったが、タブロイド新聞は次のように報じている。「ノーマン・ベイツ、AIDSに死す」
ヒッチコックはもう一つ、意表を突いた「しかけ」を仕組んでいる。
殺されるマリオンの話として、物語を始めたことである。
マリオン役は当時、大スターだったジャネット・リーを起用している。
その為、観客は彼女が主人公だと思って映画を観る。
ところがマリオンは間もなく殺されてしまう。(有名なシャワー・シーンの映像が印象深い)

映画は全体的に不気味なムードが漂う。
それに最も寄与しているのが、バーナード・ハーマンの悲鳴のようなバイオリンの音色だ。
又、モノクロの地味な映像は、スリルを超えた恐怖、得体の知れぬ犯人像など、観客にゾッとするような世界に引き込む効果もあった。
著名なタイトル・デザイナー、ソウル・バスによるシンプルなタイトル・デザインも印象的だ。
<白黒画面に左右上下から白い帯線が流れて、通り過ぎると文字が残っている>
(個人的なことで恐縮だが)
遠い昔のこと、仕事でロサンゼルスに行った際、ハリウッドのユニバーサル・スタジオを訪れる機会があった。映画で観た「ベイツ・モーテル」と「丘の上の家」のセットが生々しく残されており、思わず足元が竦んだ記憶が甦る。
果たして今も残されているのだろうか...。

未見の方も、再見の方も、「映画史上空前のトリック」の余韻に浸っていただきたい。
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投稿を表示一度観たら忘れられない、強烈な印象を残す映画ですよね。
洋画さんのご紹介文の中でいくつか目に留まったのは
>ウィスコンシン州で実際に起った、中年男性の殺人事件がモデルになっているそうだ。
>ノーマン・ベイツがいつも飴をなめていたのは、不安な心理状態を表すパーキンスのアイデア
>ヒッチコックは……
殺されるマリオンの話として、物語を始めた
名作と言われる作品には、いくつもの「仕掛け」があるのですねー。
そして、あのラスト。
「どうして気づけなかったのだろう」と打ちのめされながらも、気持ちは大いに満足していました。(笑)
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投稿を表示家、怖っ !