スティーヴ・マックィーンに天国で会いたい!
スティーヴ・マックィーン(1930.03.24 ~ 1980.11.07 / 米・インディアナ州生まれ)は私の最も好きな俳優で、反抗精神を兼ね備えた骨っぽさに、彼の最大の魅力を感じる。
50歳で早世したため、映画出演は40数本と少ないが、マックィーンの代表的作品を振り返りながら、往時の活躍を振り返ってみたい。
ブリット(1968年) : ピーター・イェーツ監督
マックィーンの作品中で最高の1本。彼はニヒルな敏腕刑事 ‘ブリット’ を好演している。
マックィーンが運転する1968年型フォード・ムスタングGT390と、敵の1968年型ダッジ・チャージャーによるサンフランシスコの急斜面を利用したカー・アクションは、映画におけるカー・チェイスの歴史を変えたといわれる名場面だ。そして、そこに流れるラロ・シフリンのジャジーなサウンド。このとき、映画の心地よさは最高潮である。
ジャクリーン・ビセット、ロバート・ヴォーン、ロバート・デュヴァルらが共演。
大脱走(1963年) : ジョン・スタージェス監督
マックィーンがハリウッド・スターの仲間入りを果たした作品。
収容所の規律に逆らっては独房入りを繰り返し、クーラー・キングの異名を持つ。チャンスとみればドイツ軍のオートバイ(あえてバイクとは言わない)を盗んで国境を目指すアメリカ兵ヒルツ。この不屈の闘志を持つ反抗児のイメージは、マックィーン本人の実人生とオーバーラップしていく。
サスペンス、アクション、ユーモアという3つの要素が見事に織り込まれ、計画・実行・その後の運命のプロセスがテンポよく進む演出も見事。
ジェームズ・ガーナー、チャールズ・ブロンソン、ジェームス・コバーン、デヴィッド・マッカラムらが共演。
華麗なる賭け(1968年) : ノーマン・ジュイソン監督
華麗なスーツに身を包み、犯罪を楽しむ大富豪という異色の役どころを演じたマックィーン。
ミシェル・ルグランのテーマ曲「風のささやき」は永遠の名曲。
洗練された紳士で知られる大実業家のトーマス・クラウン(マックィーン)は、ただ一つ盗みに関してだけは異常なほどの欲望と才能を持っていた。ある日、彼は部下を使って自分のビルの前のボストン銀行から260万ドルもの大金を盗ませる。早速、ボストン警察が捜査に乗り出すが、手掛かりは一向に掴めない。実業家のクラウンが犯人だとは夢にも思わなかったのだ。一方、被害を受けた銀行の保険会社は、ビッキー・アンダーソン(フェイ・ダナウェイ)に調査を命じる。
小粋な犯罪映画で、ラストのオチへの展開が実にサスペンスフル。
上述のフェイ・ダナウェイに加え、ポール・バーク、ヤフェット・コットーらが共演。
荒野の七人(1960年) : ジョン・スタージェス監督
黒澤明監督の「七人の侍」(54年)を西部劇としてリメイク。
マックィーンにとって念願の西部劇映画であり、クレジット順こそユル・ブリンナー、イーライ・ウォラックに次いで3番目だが、役柄的には「七人の侍」で三船敏郎が演じたポジションを担っている。マックィーンは拳銃とライフルを使い分ける、颯爽たるガンプレイを披露し、「拳銃無宿」の主人公をさらにスケール・アップしている。
農村を襲う荒くれ者集団から農民を守るため、僅かな賃金で雇われた七人のガンマンたちは、
全身黒ずくめのリーダー・クリス(ユル・ブリンナー)、クリスの相棒・早撃ちのヴィン(スティーヴ・マックィーン)、ナイフ使いの名人・ブリット(ジェームズ・コバーン)、子ども好きのオラリー(チャールズ・ブロンソン)、暗い過去を引きずる早撃ちのリー(ロバート・ヴォーン)、大金を夢見るハリー(ブラッド・デクスター)、一流ガンマンに憧れる若者チコ(ホルスト・ブッフホルツ)である。
パピヨン(1973年) : フランクリン・J・シャフナー監督
無実の罪で南米ギアナの終身刑務所に送られた主人公(マックィーン)は、腕にパピヨン(蝶)の刺青のある男。冤罪に耐え兼ね、幾度となく執拗な脱走を繰り返す。実録映画である。
サン・ローラン西方の沖合にあるサン・ジョセフ島の重禁固監獄は ‘人食い牢’ と呼ばれてる恐ろしい独房。天井も鉄格子で、陽はまったく当たらず、差し出される食事はひとかけらのパンとスープのみ。(そのスープも、何が入っているのか分からないシロモノ)
生きるためには何でも胃袋に入れる。この想像を絶する死の淵を生き抜いたエネルギー(いや、魂か、神心か)はどこからくるのか。
出演時43歳という、マックィーンにとっては絶頂期の作品で、演技者としての「執念」を感じさせる名演だった。ダスティン・ホフマン、アンソニー・ザービ、ドン・ゴードンらが共演。
砲艦サンパブロ(1966年) : ロバート・ワイズ監督
マックィーンが主宰するソーラー・プロが製作協力、1926年、植民地支配に対する抵抗が激化する中国・上海を舞台に、アメリカのオンボロ砲艦サンパブロ号の乗組員たちの姿を描いた傑作。マックィーンの真っ白い水兵姿が眩しい。
1926年(大正15年)といえば、中国では、翌1927年に上海クーデターが勃発、蒋介石率いる国民革命軍が破竹の勢いで、南京事件を引き起こした年。本作は、それらの事件の前年の揚子江沿岸や上海が主な舞台となっている。単なる排外運動だけでなく、中国国内の複雑な社会問題も絡み、非常に複雑な背景だが、映画そのものは娯楽性たっぷりで、相変わらずマックィーンの人間性がほとばしる。
賞に無縁のマックィーンが唯一、米アカデミー賞・主演男優賞にノミネートされた。
キャンディス・バーゲン、リチャード・アッテンボロー、リチャード・クレンナ、マコ(マコ・岩松)らが共演。
タワーリング・インフェルノ(1974年) : ジョン・ギラーミン監督
アーウィン・アレン監督
ハリウッドの大物著名俳優だけでも20名以上が集結、巧みな人間模様の表現とラストの救出策の演出には、ただただアメリカ映画のスケールの大きさに感服するほかない。
サンフランシスコにそびえ立つ138階建ての超高層ビル「グラス・タワー」で完成披露パーティが行われている頃、81階の倉庫から出火したボヤが原因で、ビルは激しい炎に包まれた。135階のパーティ会場には、逃げ遅れた人々が取り残され、外からの救出を待っている。消防隊長のオハラハン(スティーヴ・マックィーン)は、ビル設計者のダグ・ロバーツ(ポール・ニューマン)と協力して消火・救助活動にあたるが、予想をはるかに上回る困難が待ち受けていた...
マックィーンとポール・ニューマンの存在感が群を抜いている。ほかにウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、ジェニファー・ジョーンズ、リチャード・チェンバレンらが出演。
シンシナティ・キッド(1965年) : ノーマン・ジュイソン監督
マックィーンが鋭い眼光でポーカーの名手というキャラクターを鮮やかに演じ、彼の演技が高く評価された作品。
ニューオリンズ。自他ともに認めるポーカーの名手、シンシナティ・キッド(マックィーン)の前に、30年もタイトルを保持した老賭博師のランシー・ハワード(エドワード・G・ロビンソン)が現れた。ケチな勝負に飽き飽きしていたキッドは、名人位を賭けてランシーに挑戦する。賭博社会の長老シューター(カール・マルデン)は、いつもはキッドに目をかけ可愛がっていたが、今回ばかりは若い彼の思い上がりをたしなめる。だが、キッドとランシーの勝負は大興奮のうちに始まった....
後半から延々と続く勝負シーンの息詰まる対決はまさに圧巻。
そんな中、微かな潤いをみせるアン・マーグレット、チューズデイ・ウェルド2人の女優もいい。
又、ラロ・シフリンのスコアも心地よく、レイ・チャールズの歌も渋くて素晴らしい。
以上8作品を挙げたが、マックィーン・ワールドの作品群には、「マックィーンの絶対の危機」(58年)、「戦雲」(59年)、「突撃隊」(61年)、「戦う翼」(62年)、「マンハッタン物語」(63年)、「ネバダ・スミス」(66年)、「華麗なる週末」(69年)、「栄光のル・マン」(71年)、ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦(72年)、ゲッタウェイ(72年)、民衆の敵(76年)、トム・ホーン(80年)、そして遺作となったハンター(80年)など、傑作が並ぶ。
私にとってのマックィーンは、58年~米TV「拳銃無宿」におけるジョッシュ・ランダル役だ。
孤独の影を引きずる寡黙な賞金稼ぎを好演、銃身を切り詰めた独特なライフル銃と共に印象深い。
我らが英雄スティーヴ・マックィーンの原型はここにあり、私の心の中で永遠に生き続けている。
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投稿を表示「パピヨン」の画像、正しいものに修正しました。
ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした。
2024.07.15
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投稿を表示洋画さん。
good jobです。(^O^)/
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投稿を表示当初は「ジャケ写無し」で投稿してしまったのですが、この度、事務局のご担当者のご尽力によって、投稿全作品のジャケ写を添付していただきました。
本当にありがとうございました。
ただ1点、「パピヨン」の画像は2017年作品のもので、リメイク版のものが添付されております。
私自身、画像添付が出来ないことを棚に上げて恐縮ですが、この場で申し添えておきます。
2024.02.02
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投稿を表示洋画さん、こんばんは。
洋画さんの大好きなスティーヴ・マックィーン特集がついに登場しましたね。
今回は、ジャケ写の紹介がなくてちょっと寂しいですね。
私はマックイーンの出演作をあまり観ていないので、今度じっくり観てみようと思っています。宜しくご指導お願いします。
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投稿を表示こんにちは。50歳で亡くなるなんて早すぎましたね。
まだまだ活躍して欲しかったですね。
私は何と言っても、「大脱走」のマックイーンさんがめちゃかっこよくて大好きです。
ああ、また見たくなりました!何度みても、ハラハラドキドキ、そしてスカッとする作品ですね。
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