映画の天才の「意欲作」!?はたまた「大失敗」作!?笑撃の戦記超大作映画『1941(いちきゅうよんいち)』
皆さんこんにちは
椿です。
5月も半分が過ぎ、いよいよじめじめした梅雨に入りそうですね・・。
連休明けの「五月病」を経由しての梅雨・・。
気持ちが憂鬱になりますよね・・。
そんなわけで、今月のお題!そんな憂さを吹き飛ばす作品!
「観たらフッ飛ぶ豪快映画」
とのことですので、不肖椿、こんな作品をご紹介します!
あの映画の天才、スティーヴン・スピルバーグが監督した超大作戦記映画!!
『1941(いちきゅうよんいち)
誰です?スピルバーグの戦記もの、と言ったら『プライベート・ライアン』だと思った人は!?
本作は、スピルバーグが劇場用映画2本目の監督作『ジョーズ』、3本目の『未知との遭遇』という、映画史に残る超絶名作を監督し、若手なのに映画の天才の名声をほしいままにした、スピルバーグが満を持して世に放った4作目の、超大作戦記映画なのです。
原案に『ビッグウェンズデー』のジョン・ミリアス、脚本を『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のロバート・ゼメキス、音楽はもちろんジョン・ウィリアムズ。
出演が『ブルース・ブラザーズ』のダン・エイクロイドとジョン・ベルーシ、『スーパーマン』のネッド・ビーティ、『ジョーズ』のロレイン・ゲイリーにマレイ・ハミルトン、『アニマルハウス』のティム・マティソン、『殺しのドレス』のナンシー・アレン、『ワイルドパンチ』のウォーレン・オーツ、『パリは燃えているか』のロバート・スタック、『ザ・グリード』のトリート。ウィリアムズ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のウィンディ・ジョー・スパーバー、『スターウォーズ クローンの攻撃』のクリストファ・リー、そして我らが『七人の侍』の三船敏郎。脇役のベテラン俳優のエリシャ・クック、スリム・ピケンズ、ライオネル・スタンダールほか、ジョン・キャンディやミッキー・ローク(本作がデビュー)といった、この後の世代に大スターになる役者、更にはカメオ出演で『ブルース・ブラザーズ』のジョン・ランディス監督、『ミザリー』のジェイムズ・カーン等が出演。名スタッフと超豪華キャスト総出演による本作。しかも、超ヒットメーカーであるスピルバーグのメガフォン、となれば、映画ファンも期待大なのはうかがえます。
これだけのスタッフとキャストをそろえ、相当な製作費をかけた本作。映画会社は当然、大ヒット間違いなしを踏んでいました。
ところが、ふたを開けてみると、、、、こ・れ・が・・・
世紀の大コケ!!Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
スピルバーグの黒歴史(/ω\)
と、呼ばれてしまうことに・・・。
それが証拠に、、、というのも変ですが、
スピルバーグは本作以降、製作としてはかかわるものの、自身ではコメディ映画の監督はしていません。余程、この作品の経験が堪えた、、のかもしれません。
あっ、言っちまった(;^_^A
さっきから戦記物ってご紹介していましたが、本作は壮大な
戦記ものコメディ!!
でありますっ
【ものがたり】
時は1941年。日本軍がアメリカハワイ州真珠湾に奇襲攻撃を果たしてから1週間が経とうという頃。初めてアメリカの地に外敵が攻撃をしてきたことにショックを隠せないアメリカ軍と国民は、次は本土攻撃か!?と戦々恐々としていた。
国内が臨戦態勢の中、時節柄クリスマスの時期でもあり、夜には軍人の慰問を兼ねたダンスパーティが町のクラブで開催されることになり、カフェで働くウォーリーは恋人のベティと踊る約束をして浮かれ気分。それを、嫌みな軍人のシタルスキーに因縁をつけられる。
一方、日本軍はドイツ軍から買い上げた潜水艦 伊19号でカリフォルニア沖に出現。艦長の三田村はアメリカの象徴を攻撃しアメリカ国民に精神的ダメージを与えようとハリウッドを攻撃目標と定める。が、同乗しているナチの大佐は日本人のやり方がいちいち気に食わない。
アメリカ陸軍は日本軍の攻撃に備えて、海岸線に住居を構えるウォード・ダグラス家の庭に対空砲車を設置。責任者のトゥーリー軍曹はウォードに、絶対に触れないよう注意する。
はたまた一方、空軍パイロットのケルーソー大尉は愛機ウォーホークでガンガン飛行し、日本軍の上陸に備えあちこち探索しているが、とにかく行動が突拍子なく、次から次へとトラブルを巻き起こす。
そんなこんなで夜。町中ではダンスパーティが始まる。軍人しか入れないパーティ会場に酔った軍人から制服を奪い取って忍び込み、ベティとダンスを始めるウォーリー。しかし、ベティに目を付けていたシタルスキーに見とがめられ殴り合いのけんかに。すると、何故か、そこにいる軍人たち同士の大げんかに発展。すわ暴動か!?という危機一髪なところをトゥーリー軍曹が止めに入り、彼の演説により、軍人たちの心が一つにまとまる。
これまた一方、将軍の秘書の妖艶なドナに目を付けたバークヘッド補佐官は、彼女が飛行機オタクで、飛行機に乗ると性的興奮を覚えることから、彼女を連れ出し、練習機に搭乗させ飛び立つ。しかし、その機には無線がついていなかったため、飛行許可を空軍基地にできないため、敵機と間違えられる。空襲警報が鳴り響くロスの町。一気に臨戦態勢に入る軍人。と、そこへバークヘッドの操縦する飛行機が飛んでくるので、一斉に砲撃される。また、その後ろからはケルーソーの飛行機もやってきて、バークヘッドたちを攻撃。しかし、パニくってる地上軍はケルーソーの飛行機も攻撃。2機は撃墜されてしまう。
なんだかんだ一方、三田村達の潜水艦は、ウォードに発見されてしまう。ビビり倒したウォードだが、自分達が攻撃をしようと、砲台を勝手に操縦し、潜水艦を攻撃する。が、操作方法がよくわからないものだから、自分の家も一緒に破壊してしまう。突然の攻撃に驚く三田村。
攻撃はウォードの家からだけではなく、灯火管制がかかり、営業をとめられていた海岸線の遊園地にある観覧車から敵の侵攻がないか見張っていた凸凹コンビと1体の腹話術人形も潜水艦を発見。ライフル銃で攻撃する。
潜水艦がウォードの家に攻撃目標を定め、すわ砲撃か!
と、その瞬間、観覧車の連中を助けに来た子供が誤って遊園地の全電源を稼働させてしまったため、暗闇に一大パークが広がってしまう。潜水艦上は「ハリウッドだぁ!!」と大騒ぎ。攻撃目標が変更され、遊園地が狙われる・・・
果たして、大混乱のアメリカは日本軍の攻撃から守られるのだろうか!!??
【とにかく、み~んなクレイジー!】
いや、【ものがたり】をしたためてみたのですが、どんな作品の映画か、全然わからないですよねぇ(;^_^A
椿の執筆力の無さのせいもあるのですが、作品自体、登場人物が多く、三者三様の思惑あり、そしてなにより、登場人物がみ~んな、クレイジーなため
かなり、とっちらかっている
のです・・・
でも、分かりづらいとっ散らかり方ではなくて、そのクレイジーぶりを大笑いしながら楽しむことができる作品となっています。
では、キャラのクレイジーぶりをご紹介っ・・・
トゥーリー軍曹(ダン・エイクロイド)
部下から慕われ、カリスマもある、一見まともな軍人。しかし、大喧嘩を始めた軍人たちを諫める方法がスゴい。大喧嘩で大混乱の町中に戦車で乗り込み、いきなりマシンガンをぶっ放す。驚き、静かになったところで、『インデペンデンス・ディ』の大統領並の大演説をぶって、一触即発だった軍人たちをまとめ上げ士気を高めます。でも、その演説、まともに聞いてると、何言ってるか意味不明なんですよね。
おまけに、「灯火管制かかってるんだから町の灯をすべて消せ!」と指示を出しますが消し方が分からない。「めんどくせぇ、すべて撃ち落とせ!」と町中の照明という照明をすべて銃撃で破壊するという荒業。果ては倒れてきた電柱に頭ぶつけて幼児化してしまうという・・・
ケルーソー大尉(ジョン・ベルーシ)
本作1番のイカレキャラ?戦闘機ウォーホークを縦横無尽に駆使して、アメリカ国中で日本軍探しに躍起。とある村の道路に着陸、ガソリンスタンドに立ち寄り「ハイオク満タン!」なんて言ったり、そのガソリンスタンドを破壊したり、飛行中に地図を見てあやうく山に衝突しそうになったり、短気で所かまわず殴りかかったり・・。
最後には沈みゆく潜水艦に単身乗り込んでしまったり・・。危ない無鉄砲な男。
ウォード(ネッド・ビーティ)
アメリカの中流階級な一般人。ベティの父親で4人の子持ち。海岸線に豪著な邸宅を持ってしまったが故、自宅の庭に対空砲車を置かれてしまったのが運の尽き。日本軍の潜水艦を発見してしまったためパニックに陥り、自ら砲台を操縦して潜水艦を攻撃。しかし、命中しないどころか、反動で激しくバックした砲車が家の壁を突き破る。それでも更に攻撃をあきらめず家の中に砲車があるまま攻撃。家の中で爆発が起き、ついには2階が落ちてくるハメに・・・
シタルスキー伍長(トリート・ウィリアムズ)
トゥーリー軍曹の部下。ナルシストで短気で暴力癖があり、女好き。すべての女は俺になびく、くらいのイヤミな男。ベティにご執心で恋人のウォーリーに何かというと食ってかかる。生卵が大っ嫌い。
バークヘッド大尉(ティム・マティソン)
スティルウェル将軍の補佐官。かつての恋人で将軍の秘書として働くドナを再びものにしてやろうと彼女に近づくも、エッチが下手なせいで別れた過去を忘れて、自信満々に行ったら返り討ちにあってしまう。ところが、飛行機オタクな彼女とのアバンチュールを楽しむため、飛行機の操縦などまともにできないにもかかわらず、飛行機を運転してしまったことが大変なことになる・・。
ドナ(ナンシー・アレン)
スティルウェル将軍の秘書。見た目清楚で美しい彼女だが、一皮むくと、というか、飛行機をみたり、飛行機の話題が始まると、身体がうずき、悶えてしまうという変な性癖がある。その性癖を知っているバークヘッドとともに飛行機に乗ってしまい、畿内で一発おっぱじめてしまう・・。
スティルウェル将軍(ロバート・スタック)
実在の将軍をモデルにした登場人物。非常に聡明かつ冷静な指揮官。しかし、シニカルで腰が重い。町中で兵士による暴動が起きても、空襲警報が鳴り響いても大騒ぎすることなく、「敵が攻めてくるなどあり得ない」というスタンスで意に介さないどころか、大好きな映画『ダンボ』を観たくてたまらない。軍事的一大事より、『ダンボ』の開演時間が気になって仕方がない。『ダンボ』のセリフや歌を口パクしてるところをみると、もう何度も『ダンボ』を見ているようだが、それでも目頭熱くなり、涙を吹く場面も・・・。(好きな映画は何度でも見てしまう!この気持ち分かるぅ~)
マドックス大佐(ウォーレン・オーツ)
爆弾処理隊の責任者。日本軍が攻めてくるという妄想に憑りつかれ、「怖いから早く援軍送ってよこせぇぇ~」と何度も将軍に依頼するものの「あいつはおかしいからな」と相手にしてもらえない。大声をあげながら銃をぶっ放すと興奮する、危ない司令官。
マキシーン(ウェンディ・ジョー・スパーバー)
ベティの友達。非常に肉感あり、ボリューミーな体形の女の子。積極的に男を求める肉食系女子で、シタルスキーに一目ぼれ。ベティをしつこく追いかけるシタルスキーを、更にしつこく追いかける。
クロードとハービーとお人形
近所のおじさんの命により、観覧車に乗り込み、敵の襲来を監視している。クロードは真面目なおじさんで、高所恐怖症。ハービーはちょっと抜けており、高所恐怖症だと訴えるクロードの前で高所にある観覧車からスイカの実を落としてみたりしてクロードの怒りを買う。と、何故か二人の間に腹話術のお人形さんが・・。
クロードを演じるのは『ジョーズ』で市長を演じたマレー・ハミルトン。
三田村中佐(三船敏郎)
潜水艦 伊19号艦長。非常に冷静沈着かつ、部下を信頼し部下からも慕われている。暴力的な行動に訴えることを嫌い部下が捕虜を拷問しようとするのを止める。が、アメリカ本土の攻撃対象をハリウッドにしたり、といった、いまいちまともなのかヌケてる人物なのか不明。ナチのクラインシュミット大佐(クリストファ・リー)がブツブツ文句を言っているのを、アドリブのセリフのようにぼやくのがギャップがあって面白い。
潜水艦の乗組員
三田村が言うには、全員サムライとニンジャの子孫。の割には動きが緩慢。
アメリカにはもみの木に扮装して上陸するも、クリスマスツリーを作るために現れたきこりの前で、ひっくり返って倒れたりとコミカル。
「はりうっどぉぉぉぉ」と哀愁にひたる隊員もいて面白い。
こういったクレイジーな登場人物たちの大騒ぎにより、たった1日の出来事とは思えないような、極めて濃密なドタバタが繰り広げられるわけです。
しかしながら、本当にクレイジーなのは、戦争をおっぱじめようとしている人間達なわけで、本作、ある本当にあった事件をネタに作られているのです。・・
ほんとにあったクレイジー① 『ズートスーツ騒乱』
「ズートスーツ」とは、1940年代、アメリカで流行ったファッション。「ハイウエストで裾の広いカフ付きのペグパンツ、幅広のラペルと肩幅の広いロングコート、帽子の組み合わせ」ということで、全体的に大きめに作られたファッション。本作の主人公ウォーリーもこのファッションを身にまとてちる場面があります。
このファッションの流行は黒人やヒスパニック等アメリカ社会の中ではマイノリティな人種の間で流行ったため、白人社会、とりわけ軍人たちの間では「この非常時に布をたくさん使って作るファッションなど非国民の所業だ!」と批判し、ズートスーツな者達との間で小競り合いを起こしていました。
ある日、このズートスーツを着用していた人物が殺人事件を起こしたことにより、騒乱が勃発。白人兵士たちが、ズートスーツの者達に暴行を加えました。理不尽な暴力にズートスーツの者達も反撃。1週間も続いた大騒乱でしたが、ルーズベルト大統領の声明により事態の収拾が図られます。
もっとも、真珠湾攻撃以降、国内の日系人を強制収容所へ隔離していたため、ヒスパニック系に労働力を頼らざるを得なかったという事情もあったらしく、この「人種差別的」行為を正当なものとしていたアメリカ社会が手を返すように収拾にあたったとも伝えられています。日本でも『福田村事件』のような人種差別による事件が起きましたが、アメリカでも、戦時中の最中、このような事件が起きていたのですね。
本作中では、陸軍を中心にした、位の高そうな軍人たちと、マイノリティの多そうな海兵隊員達の間での、大スペクタクル大喧嘩として、派手に描かれています。喧嘩の発端は位もプライドも高いシタルスキー伍長と、海兵隊の服を着ていた貧乏そうな若者ウォーリーとの喧嘩と追っかけっこです。
ほんとにあったクレイジー②『サンタバーバラ石油施設砲撃』
皆さん、日本軍がアメリカへ攻撃を仕掛けた「真珠湾攻撃」はご存知だと思います。(最近はアメリカと日本が戦争をしていたことを知らない人もいるというのが驚きですが・・・)ただ、真珠湾はハワイですので、アメリカ本土が攻撃された訳ではありません。
本作では、日本の潜水艦がアメリカ本土を攻撃する様を描いていますが、実は、日本の潜水艦がなんとアメリカ本土を攻撃した、という事実があるのです。
真珠湾攻撃にショックを受けたアメリカ軍は、いつ日本軍がアメリカ本土へ攻撃を加えてくるのか戦々恐々としており、着々と、その時に備えての準備が行われていました。
にも、関わらず、真珠湾攻撃から3か月後、サンタバーバラのエルウッド石油製油所が日本の潜水艦の魚雷により完全に破壊されてしまったのです。以降、西海岸側を3度にわたり襲撃されました。
三田村中佐が指揮する潜水艦「伊 19号」は、このアメリカを襲撃した潜水艦「伊 17号」をモデルにしたそうです。
アメリカの戦力にして、重大警戒をしていたにもかかわらず日本にやすやすと本土攻撃を許してしまったとは意外です。当時、真珠湾攻撃を許してしまったこと、日本がいつ襲ってくるのか?という恐怖心(日本という国の情報がまだあまり入っていなかったのか、根拠の薄い恐怖心)のためにアメリカ国中が大混乱に陥っていたのです。
そんな大混乱が更なるクレイジーを呼び起こすのです・・・・。
ほんとにあったクレイジー③『ロサンゼルスの戦い』
潜水艦による本土攻撃を食らったアメリカは厳重警戒。と、その同じ月、レーダーが敵機らしきものをとらえます。警報が発令されるものの一度は解除。しかし数時間後25機の敵機が飛来、さらに気球のようなものを飛ばしているという情報が入り、一気に現場は緊迫。町を完全な灯火管制下におき、飛行体らしきものに向かって約1500発もの砲弾を発射したのです。
しかし、この情報は誤報。日本軍は本土に飛来などしていなかったのです。(戦後、日本がこの事件の日本の関与を否定しています。)
残念ながらこの騒動により、民間人5人が亡くなっています。(心臓発作や交通事故など)
後に、この謎の飛行体は日本軍ではなくUFOではないか説が飛び出て証拠となる写真も公開されましたが、これは捏造とされています。ちなみに、この時の飛行体は、宇宙人による地球侵略のための偵察だったというネタで『世界侵略:ロサンゼルス決戦』というSFアクション映画が製作されています。
この映画では敵機ではない2機を敵機と勘違いして一斉に砲撃する、というネタに使われました。
今では信じられないような、アメリカのクレイジーな混乱をネタにして、この作品は作られているのです。相当にクレイジーな映画ですが、事実は、映画以上にクレイジーだったりしますね。
まぁ、戦争自体が平時の状態でできるわけがなく、クレイジーなのですよね・・
【とにかく破壊せよ!!】
椿がまだ、見目麗しき幼少期??
日本のテレビでは『西部警察』というドラマが毎週放送されていました。まぁ、このドラマ、金に糸目をつけず、毎回のように日産の高級車を破壊、爆破するシーンが放送されていました。今ではとても信じられない、ホンモノの迫力。
この『1941』でも、そんな破壊の美学をモノホンと精巧なミニチュアワークで徹底的に見せてくれます。とにかくスピルバーグにかける映画会社の想いと、徹底的なコメディを作りたい、というスピルバーグの熱い想いを、その破壊シーンを見ていただければご納得いただけるのではないでしょうか。とにかくギャグと破壊のつるべ打ち。
夜のダンスパーティから始まり大喧嘩で街を破壊まくる⇒灯火管制のために町を破壊⇒敵機襲来!?めったやたらの砲弾祭り⇒潜水艦を砲撃したことによる自爆での家破壊⇒潜水艦の遊園地砲撃⇒そして・・
あっ、、あぁぁぁぁぁっーーー!?
なぁにぃぃ!やっちまったなぁ!!
となるラストまで映画の時系列的に一晩で起きる出来事ですが、映画でも弛緩する空気が一切なく、畳みかけるように次から次へと破壊の見せ場の連続。
当時「コメディでここまで金をかけた映画はない!」と言わしめた作品であり、多分この評価は今も変わらないのではないでしょうか。(本作にもカメオ出演しているジョン・ランディス監督作『ブルース・ブラザーズも相当金かかってる車の破壊シーンもありますが、こちらの方が凄いと思おうなぁ・・。⇒ちなみに、ジョン・ランディスは本作にカメオ出演させてもらったお礼に、『ブルース・ブラザーズ』の中で、スピルバーグをカメオ出演させています。)
戦車の砲弾が町を破壊するは、家が崩れるは、戦車がペンキ工場に突っ込んで、ペンキの大津波に飲み込まれるは、その実写による破壊もすさまじいものですが、舞台となるサンタモニカの夜の街並みのミニチュアが非常にリアルかつ美しい。これが、日本軍ではなく、自分達アメリカ人の手で破壊されてしまうのはなんとも皮肉ですが、とにかく素晴らしい。
そして、闇夜に突如現れる、煌々と照らし出された遊園地。ひときわ目立つ観覧車。三田村は「目標!軍需工場!!」と言っているので、ハリウッドとは思っていないのかもしれませんが、一人の士官は、破壊される遊園地を見て「ああっ、はりうっどぉぉぉっ」と、シンボルを破壊されて心折れるであろうと予想されていたアメリカ人以上に心折られ泣きじゃくったりしてます(笑)。
その士官ではなくても、闇夜に照らされたその煌びやかさはハリウッドと見まごう程、なのかもしれません。
【セルフパロディとのちの作品への影響】
スピルバーグは本作でセルフパロディして笑わせています。
『ジョーズ』冒頭のシーンと同じように、夜の海へフルヌードで入ってゆく金髪の女性。と、あのおなじみの♪ズゥーン、ズゥゥンという低弦が響かせるのは『ジョーズ』の音楽!!すわ、人食いサメのの登場か!?と思いきや!!
ちなみにこの女性を演じているのは『ジョーズ』でも同じく、最初の犠牲者役を演じたスーザン・バックリニーさん。惜しくも今月帰らぬ人となりました。
また『未知との遭遇』での光輝くマザーシップはをモティーフにして、本作の観覧車が作られたりもしています。
スピルバーグは、本作の失敗の後、あの冒険活劇の大傑作『レイダース/失われた聖櫃(アーク)』を監督しています。『スターウォーズ』がヒットするかわからない思いでそわそわしていたジョージ・ルーカスと、本作の失敗で意気消沈していたであろう、スピルバーグが手を組んであれだけの大娯楽大作を作ってしまうのですから、本当に素晴らしい!!
そんなスピルバーグの作風に、本作は大きな影響を与えてる、というか、本作でその素質を開花させたに違いない!椿は勝手にそう思っています。
まず、ダンスパーティでのウォーリーとベティ、シタルスキーとマキシーンの追いかけっこから大乱闘に至るシーンでは、『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』のクラブオビワンでの乱闘を思い起こさせます。派手なミュージカルシーンともいえる、音楽、ダンスに合わせて大乱闘は実に見事で、スピルバーグのミュージカル映画を撮る素質を強く感じさせますし、大混乱のシーンを実に見事に映像化しています。
同じく『魔宮の伝説』から、クラブオビワンから逃げ出し、ショートラウンドがインディを助け出してからの上海の市場を車が駆け抜けるシーンが、本作の戦車とバイクのカーチェイス(というか追跡)のシーンと似てるなぁ、と思います。
ラストでケルーソーが単身、潜水艦に乗り込もうとするシーンは『レイダース』での、インディがナチの潜水艦に忍び込むシーンに類似している!
はいっ、勝手な椿の妄想ではありますが、後々の映画に影響を与えている!と思いながらみると、何だか楽しくありません??
【こぼればなし】
①三船敏郎
日本が誇る世界のミフネこと、三船敏郎。『七人の侍』の主演であり、スピルバーグが尊敬する映画であり、映画俳優である彼が出演したことは凄く嬉しかったと思います。彼、実は『スターウォーズ』でオビ・ワン・ケノービをオファーされていたのです。ところが、どこの馬の骨とも分からんジョージなんちゃら言う監督の映画で、しかも子供だましなスペースオペラ??ということで断ったとか。まぁ、万一ミフネがオビワンをやったら、ダースベイダーとのチャンバラシーンは三船の相手は難しいでしょうから、引き受けなくて映画の結果的にはよかった気もしますが、それに反省し?受けた今回の作品ではスピルバーグといういヒットメーカーの作品でもあるし、期待していたでしょうが、見事すぎるオオコケに、何を思ったでしょうね・・。
ただ、三船のお陰で、本作に描かれてい「日本側」の描写がかなりまともになったとも言われています。シナリオやセットの過ちをスピルバーグに提言して、スピルバーグも、彼の云う事なら、と直させたとか。
②ジョン・ウェイン
ジョン・ウェインと言えば、アメリカ映画の古き良き時代の西部劇のヒーロー。スピルバーグは、彼にスティルウェル将軍役をオファー。快く引き受けたウェインでしたが、脚本を読み激怒して断ったそうです。ウェインは有名な「タカ派」な人物で、第二次大戦を茶化した本作が許せませんでした。映画制作の中止をスピルバーグに提言したとも言われています。
その後、『ベン・ハー』『十戒』のチャールトン・ヘストンに依頼。しかし彼も、全米ライフル協会長になるなど、バリバリな「タカ派」。当然断られたそうです。
③誰も死なない戦争映画
本作、もちろんコメディという事もありますが、誰も死ぬことのない、愛らしい戦争映画となっています。後年スピルバーグが作る『プライベート・ライアン』のような超絶グロシーンや、悲劇的な展開は一切ありませんので、鬱屈した気分だったとしても全然楽しんでご覧いただける、はずです!
はい、いつも長いのはいつものことながら、お許しくださいっ
本作、失敗作と言われておりますが、椿はめちゃくちゃ大好きな作品です!
派手な大騒動と破壊シーン、そして笑いのつるべ打ちを堪能していただき、憂さを晴らすにはぴったりの作品だと思います!
あーっ、注意点が2つほど・・。
本作「劇場公開版」と「完全版」の2種があります。「劇場公開版」は118分。「完全版」は長尺の146分です!椿は長尺版大好きですが「失敗作」と言われている本作を、長尺で見る!という勇気ある方!素敵です!!「劇場公開版」ではカットされてしまった爆笑シーンも多いので、是非「長尺」で楽しんでみてください。TSUTAYA DISCUSでレンタルできるのは「完全版」です。また、配信ではU-NEXTにあります。こちらは「劇場公開版」となっております。
もう一点は同一の作品名の映画があります。『1941 モスクワ攻防戦80年目の真実』という作品で、こちらは真面目な戦争映画ですのでご注意のほど・・。
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投稿を表示私も好きです~!
どれくらい好きかというと公開当時大学4回生で就職活動とかやんなきゃならないときに劇場に観に行って、あまつさえ、パンフレットの漫画チックなワイルド・ビル・ケルソー(ジョン・ベルーシ)をタミヤ35分の1人形改造コンテストに出品してユーモア賞をもらったというくらい好きでした。エッヘン(て、自慢できる話じゃないですけど)。
本作はコメディとして良く出来ていると思うんですけどね。当時はホント、コケた映画でした。何が原因か分からないんですが、第二次世界大戦オタクだったスピルバーグの趣味が強く出たせいか、主人公のダンスと恋愛との絡みがうまく出なかったからか。今、考えても良く分かりません。
実際に1941年にはアメリカ西海岸では日本軍が明日にでも攻めてくるという空気があったみたいですね。それを元ネタにしたコメディですが、劇中に出てきた兵器もミニチュアもありますがウォード家に置いていかれたボフォース40mm単装高射砲とかM4改造ですがM3リー戦車とかスピルバーグのオタクぶりが分かります。
余談ですが、映画冒頭のセルフパロディの場面で潜望鏡にしがみついた女性に気づかぬまま潜航開始した伊19号の兵隊が上を見上げて女性を見つけ「はりうっどぉぉ!」と叫んでいたのを覚えています。
も一つ余談ですが、後年、ジョン・ベルーシの弟ジェ-ムズ・ベルーシ主演で作られた『サハラ戦車隊』(1943年)のリメイクTV映画で出てくるM3戦車をてっきり本作で作ったレプリカの流用だと思っていたところ、先日、Youtubeでフル・ムービーを観なおしてみたら、あっちはオリジナルだったので吃驚。こういうところ欧米の映画界はうらやましいですね。
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投稿を表示相変わらずさすがな情報量ですね~👏僕も一時期、三船敏郎映画を見漁っていた時期がありました。
なかなか白黒映画だとハードルが高いですが、この映画はとても興味あります!!
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投稿を表示いつも思いますけど、すごい知識が豊富ですよね😁なんでそんなに詳細なとこまで詳しいんですかwともかく、今回も超大作なる執筆お疲れさまでした!
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