カッツ
2025/12/17 08:53
誘う女(To Die For)
1995年/監督:ガス・ヴァン・サント
本作は、1990年に実際に起きた事件を題材に、ジョイス・メイナードの小説『誘惑』(1992年発表)を映画化したサスペンススリラーである。ガス・ヴァン・サント監督による演出は、現実の犯罪をブラックユーモアを交えて描き出し、メディアと欲望の危うい関係を鋭く浮かび上がらせている。
主演のニコール・キッドマンは、テレビキャスターを夢見る野心的な女性を妖艶かつ冷徹に演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞した。彼女の演技は、キャリアの転機となるほど強烈な印象を残し、観客に「成功への執着が人をどこまで狂わせるのか」という問いを突きつける。
物語は、メディア社会の虚飾と人間の欲望を風刺的に描きながら、サスペンスとしての緊張感も失わない。実際の事件を基にしながらも、映画としてのドラマ性を巧みに構築しており、90年代アメリカ映画の中でも異彩を放つ作品である。
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