マタンゴ
マタンゴ
1963年 東宝 劇場公開:1963年8月11日
スタッフ 監督:本多猪四郎 製作:田中友幸 脚本:木村武 原案:星新一、福島正実 (ウィリア ム・ホープ・ホジスン「闇の声」より) 特技監督:円谷英二
キャスト 久保明、水野久美、小泉博、佐原健二、太刀川寛、土屋嘉男、八代美紀、天本英世、
熊谷二良 ほか
太西洋のヨット旅行に出た一行--城東大助教授村井、その教え子で恋人の相馬明子、笠井産業社長の笠井、彼の愛人で歌手の関口麻美、笠井産業の社員でヨットのベテラン作田、若い推理作家吉田、漁師の息子で臨時雇いの仙造等は、航海中猛烈な暴風雨に遭遇した。マストは折れ、舵ははずれ、無電も使用不能となり、暴風雨がやんでもただ南へ南へと流されるばかり、水も食糧もなくなった。七人はぐったりとなったまま死を待つほかはない。そのとき、深い霧の中に島影が見えた。一同は狂喜して上陸したが、絶えず白い霧が流れる不気味な無人島だ。どうやら人間の足跡らしいものを辿って、一行が密林を抜けると、そこの海岸に一隻の難波船があった。人間はおらず死体もない。ただ、苔におおわれて、カン詰が残っていた。船核実験の海洋調査船らしい。航海日誌には、MATANGOと謎めいた横文字が記されていた。やがてカン詰も食いつくし、一同は食物を求めて奔走した。その疲れ果てた彼らの前に、身の毛もよだつ怪物マタンゴが出現する。巨大な体から燐光を放ち、手足とおぼしきあたりから細長い数千の触手をのばしている。ライフル銃を射ちこんでもビクともせず、恐ろしい叫びをあげてジリジリと迫ってくる……。

放射能の影響で突然変異したキノコを食べた人間が、動物でも植物でもない第三の生物マタンゴに変身していくSFホラーだが、サバイバルの極限状況に置かれた集団内の葛藤や力関係の変化を追った心理ドラマとしても秀逸。ビジュアルのインパクトはもちろん、ヒトの欲望による罪深さが描かれている。それと自ら発案した妖艶なメイクでマタンゴに侵されていく変身の恍惚感を表現し男たちを虜にするお色気たっぷりの関口麻美(水野久美さん)とても美しいです。
『マタンゴ』は日本人のぼくたちが思っている以上に、海外でも知られた作品のようで、久保明さんや水野久美さんも、アメリカに行ったときに『マタンゴ』を観たと声をかけられたことがあるとか、意外な国からファンレターが届いたことがあると語っていました。