DISCASレビュー

本作は、アフリカ・シエラレオネ内戦（1991年〜2002年）を背景に、「ブラッド・ダイヤモンド」と呼ばれる紛争ダイヤを巡る人間模様を描いた社会派サスペンスである。ダイヤモンドが武装勢力の資金源となり、多くの人々が犠牲となった現実を基盤にしている点で、娯楽映画でありながら強い問題提起を含んでいる。

物語は、密輸業者ダニー・アーチャー（レオナルド・ディカプリオ）と、家族を奪われた漁師ソロモン・バンディ（ジャイモン・フンスー）の出会いから展開する。二人はそれぞれの目的のために行動を共にし、やがてダイヤを巡る争いの中で人間性を試されていく。ディカプリオは冷徹な男を演じながらも、次第に人間らしい良心を取り戻していく姿を力強く表現しており、ラストでは「いいやつ」として観客の心に残る。

銃撃戦や逃走劇の緊張感に加え、戦争に巻き込まれる子供兵士や家族の悲劇が描かれることで、作品は単なるアクション映画にとどまらず、社会的なメッセージを帯びている。観終わった後には、ダイヤモンドの輝きの裏に潜む人間の苦しみを考えさせられる。