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DISCASレビュー

じょ〜い小川
2024/09/05 22:19

クリスピン・グローヴァーのキャンプ場でのサイコパスホラー映画『罰ゲーム』

■罰ゲーム

《作品データ》
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で若き日のジョージ・マクフライを演じたクリスピン・グローヴァーをメインキャストにしたサイコパスホラー映画!ケイト、ザック、アシュリー、リフ、ヴィッキーの大学生男女5人が人里離れたキャンプ場に遊びに行くが、気晴らしにジョギングに出掛けたアジア系のアシュリーが行方不明になり、途中で立ち寄ったオンボロな雑貨屋の店員のスタンリーと一緒に探す一方で、コンロなどを調達するために再び雑貨屋に訪れたザックは雑貨屋のある秘密を目にすることに。雑貨屋の店員スタンリー役をクリスピン・グローヴァーが演じ、他マーゴ・ハーシュマン、グレッグ・サイプス 、ケリー・ヴィッツ、アーティ・バクスター、キャリー・フィンクリー、ロリ・ライヴリー 、ブルース・グローヴァー、ブレイク・ライヴリー、ロビン・ライヴリー、バート・ジョンソン、ダニエラ・モネが出演。

・公開日: 日本未公開、
アメリカ公開日:2006年9月24日
・配給:マクザム
・上映時間:87分
【スタッフ】
監督・脚本:オリバー・ディア
【キャスト】
クリスピン・グローヴァー、マーゴ・ハーシュマン、グレッグ・サイプス 、ケリー・ヴィッツ、アーティ・バクスター、キャリー・フィンクリー、ロリ・ライヴリー 、ブルース・グローヴァー、ブレイク・ライヴリー、ロビン・ライヴリー、バート・ジョンソン、ダニエラ・モネ


《『罰ゲーム』考察》

TSUTAYAやGEOといったレンタル店のコーナーの中で、日本では劇場で未公開で、ビデオ、Blu-ray/DVDといったソフト化することで日本では初めてその作品を目にするDVDスルー作品のコーナーがどこの店にもある。中にはカンヌやヴェネチア、ベルリンといった世界三大映画祭のコンペティション作品も紛れていたりすることもあり、掘り出し物の作品に出会えることもある。サブスク配信が主流になった今では配信スルーという言葉も聞かれるが、TSUTAYAの店舗に行き、たまたま『罰ゲーム』といういかにもDVDスルー作品らしい一見チープに思えながら一周回って攻めたタイトルにも思える映画に出会え、今回見てみることにした。


それにしても『罰ゲーム』…。

めちゃくちゃストレート、シンプル・イズ・ベストな邦題である。

まず、原題は「Simon Says」(サイモン・セズ)で、これは「サイモン・セズ」と言われた人が言った人の言う事をきくという、「赤上げて、白上げないで〜」の旗揚げゲームみたいなもの……これの旗に特化しない版と考えればいいかな?これを応用したのが「王様ゲーム」……だいたい伝わったかな?

なので、邦題にするのに原題のままで「サイモン・セズ」では通じないから、作中の出来事の見たまんまである『罰ゲーム』にしたのかな?確かにストレート過ぎて、逆にインパクトがあるから、ボクもその変なインパクトにバカ負けして借りちゃったよね。これ、タイトルをつけた人の勝利だね。

ボクだったら…
『殺戮のキャンプ』とか『殺人キャンプ』とか…
あるいは『ハンティング・ゲーム』とか『ハンティング・タイム』、『デス・ハンティング』。製作国がカナダから取って『カナディアン・キャンプ・マサカー』とか『殺戮のカナダ』とか『メイプルリーフ・マサカー』とか……。とにかく、えげつないタイトルをつけるね。けど、それだと逆に普通のホラー映画のタイトルになるから、一見シンプルでえげつなさ度も低目、だけどインパクトは残るという心理をつくタイトルにしたかな。


というように本作は早い話、キャンプに訪れた若者5人衆がキャンプでひとときのアバンチュール&欲望丸出しな人間模様からのキャンプ場のあり得ぬ惨劇というやつ。河原と湖の違いはあるけどそれだけだと『13日の金曜日』っぽくも聞こえるけど、その辺りのインスパイア元は『悪魔のいけにえ』とかヒッチコックの某有名作で間違いないと思える。特にヒッチコック作品に関してはかなりのネタバレ要素になるので敢えてぼかすけど、そこに原題の「Simon Says」が関わるし、ちゃんとしたホラーになっている。

この大学生の若者5人、よく見るとやっぱりヒエラルキーがある。このグループのヒエラルキーのトップはリフ。アメフト選手で屈強な体躯を誇り、しかもケイトという彼女までいる。その次がリフの彼女のケイト。次にリフ目当てでやって来た金髪の美女のヴィッキー。ケイトの友達というよりかはリフが呼んだようにも見えなくない。その次がヴィッキーの友達でアジア系の真面目っ子のアシュリー。ヴィッキーはこのキャンプにマリファナジャンキーのザックも参加することを知っていたので、ザック対策として呼び寄せた当て馬要員。そしてリフの友達で常にマリファナを吸ってるザックがヒエラルキー最下位。一見、リフと友達だし、運転手だからナンバー2のように見えるが、ザックのマリファナジャンキーっぷりは学内でも有名らしく、女の子達から嫌われている。ザックはそんなのおかまいなくハッパをキメまくり、エヘエヘとやばい笑みを絶えず浮かべている。自分ではグループのムードメイカー要員だと思っているみたいだが、マリファナを吸いすぎてガチでムードブレイカーになっている。

そんな男女5人夏物語を河原のキャンプでやって、野郎2人はかなりの確率でヤれるぞってぐらいの気持ちで臨んでいる。一方、ケイトとヴィッキーはリフの取り合い、ザックはアウトオブ眼中、アシュリーはなんとなく来たみたいな感じだ。つまり、男女5人のキャンプの様子は『13日の金曜日PART2』のクリスタル・レイクのキャンプに近いんだよね。


そして、この映画の最大の特徴はサイコパスが使う武器、凶器の数々である。ずばり、大き目のツルハシを使って、次々と殺戮を繰り広げる。それもただ殴り殺す、刺し殺すだけでなく、狩りの罠というかピタゴラスイッチみたいな装置でツルハシを遠くから飛ばして刺したり、丸太にツルハシを複数くっつけて相手に遠心力でぶつけたり、転がしてぶつけたりし相手を殺しにいく。ツルハシを武器にした映画というとフィンランド映画の『SISU シス 不死身の男』を思い出す人がいるかもしれないが、殺しの道具として使うと意外にもインパクトがある。鎌とかナイフとかのような刃物ではなくて尖った鈍器なんだけど、これが遠くから飛んでくると殺傷力がある。さらにはツルハシが複数飛んできたりもするのでかなりのインパクトがある。

その上、『ラスト サムライ』に出てきたような旧式のガトリング砲みたいなマシンも出てくるけど、やっぱりツルハシなんだよね。あれかな、ツルハシって安いのかな?だからいっぱい使ったのかな?あと、途中でナタを凶器として使うシーンもあり、これも効果的に使う。


あと、この5人組の中のリフ、いくらなんでもマリファナを吸いすぎ。あんまりにも吸いすぎて女の子からの受け答えが怪しいは、途中運転するシーンがあるけど案の定やらかす。それであまりにも好きすぎるマリファナも途中でちゃんと生かされる上にさらなる悲劇を生み出している。この悲劇はなかなかグロく、グロい映像が苦手な方はかなり厳しい。

全体的に無名なキャスト&スタッフばかりだが、サイコパスに襲われる女性役として無名時代のブレイク・ライブリーが姉貴と一緒に出演している。しかも、この映画の製作ってブレイク・ライブリーの父親だったりする。さらには製作総指揮の一人がケイト役の子の親で、そのコネでヒロインになったかな。
 


ということで、確かにピタゴラスイッチのツルハシ発射マシンは罰ゲームといえばそう見える。作りはチープだし、ありきたりな展開だけど、クリスピン・グローヴァーの活躍をたっぷり味わえるB級ホラーということで。

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