『空白』、『ヒメアノ～ル』の吉田恵輔監督と石原さとみが初めて組んだヒューマンサスペンス。

突然、娘が失踪した一家。石原さとみ演じる母親はその不在に徐々に心を削り取られていきます。

これまでの石原さとみというと、特に映画ではなにか”キャラクターに乗っかっている”感じがしていたのですが、今作はまさに等身大の役どころで、新境地と言える演技を披露しました。

もともとは『空白』の製作中からマスコミ側から事件を描くというアイデアが浮かんだ吉田監督がイメージを発展させて、本作に繋がりました。

ということで、マスコミ側の人間の描かれ方も大きく時間を割かれていて、中村倫也演じるローカル局の砂田を軸に注目を集めることと報道を続けることのバランスの難しさが描かれています。

『空白』同様、事件の真相は映画の肝になっていなくて、事件に接したことで人生を大きく揺さぶられる人間の姿を描くことに主眼が置かれています。

エンタメ作品ではないので気軽に見てくださいとは言いにくいのですが、とても見応えのある一本となっています。