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鬱・トラウマ映画

じょ〜い小川
2025/03/26 16:34

【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『アンテベラム』

■アンテベラム

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

《作品データ》
『ゲット・アウト』『アス』などのプロデューサーであるショーン・マッキトリックが『ムーンライト』『ドリーム』のジャネール・モネイを主演に迎えて製作した衝撃のスリラー! 米南部のプランテーションで白人に捕らわれ奴隷として過酷な労働を強いられるエデンと、ベストセラー作家として華やかに活躍する社会学者ヴェロニカという対照的な黒人女性2人の予測不能な運命がスリリングに描かれる。
共演はエリック・ラング、ジェナ・マローン、ジャック・ヒューストンら。監督はジェラルド・ブッシュとクリストファー・レンツの新鋭コンビで、本作で長編デビューを果たした。

・TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー中!
・配給:キノフィルムズ
・公式HP:https://antebellum-movie.jp/

《『アンテベラム』レビュー》

フライヤーから「ホラーなのかな?」と思いつつ、『ゲット・アウト』や『アス』の制作陣が作ってるのか、というぐらいの引っ掛かりで見た『アンテベラム』

見てびっくり! 人種差別・脚本・演出の妙をついた新感覚のスリラー映画だった!

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

冒頭の20分ぐらいから、南北戦争時代のアメリカの南部のプランテーションのエピソードが展開されたので、「『それでも夜は明ける』パート2かな?」と思いながら見ていると、突如現代のシーンへ。プランテーションの主人公はエデン、現代のシーンはヴェロニカとして見ることになる。

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

一見、全く時間軸が違うエピソードを交互に展開するが、黒人女性が主人公というのと、現代のヴェロニカも人種差別に関わる女性なので「人種差別」が共通のテーマにあることが分かり、他にも僅かながら繋がりも見える。

この映画の成功のポイントはプランテーションのシーンの異様なまでのリアルさにある。綿花の収穫のシーンは『それでも夜は明ける』さながらだし、裕福な白人女性、残酷・冷酷な白人監視官、南北戦争の戦線報告会など、その時代のエピソードらしくある。

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.


これに、現代のヴェロニカの妙にアッパーな暮らしの中に時折チラつく不穏さがミステリアスで良い。不穏かどうかの微妙さをヴェロニカの下世話な友達が打ち消し、いい意味で邪魔なアシストをしてくれる。

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

ネタバレになるのでキモは避けるが、最近の作品では日本映画『そして、バトンは渡された』でも使われていて、絶妙なミスリードをさせてくれる。全体的には『ゲット・アウト』や『アス』に並ぶ黒人人種差別スリラーで、最終的なオチが分かるとシャマランの『ヴィレッジ』や『ヴィジット』を見たときの口アングリ状態になる。

『ゲット・アウト』、『アス』、『ブラック・グランズマン』 に並ぶ現代黒人映画の傑作と言えよう!

(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
(c)2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 

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