DISCASレビュー

かずぽん
2025/09/23 14:40

ブリット

タートルネックにショルダー・ホルスター姿のマックイーンがカッコいい】

 

(1968年・米・114分・カラー)
監督:ピーター・イエーツ
脚本:アラン・R・トラストマン
原題:BULLITT
原作:ロバート・L・パイク『Mute Witness(沈黙の証人)』

孤高にしてクールな熱さを秘めた男、スティーヴ・マックイーンが演じるのは、サンフランシスコ市警の腕利き刑事フランク・ブリット。
ブリットは、上院議員チャルマース(ロバート・ヴォーン)から、ある男の40時間の警護を依頼される。その警護対象者とはジョー・ロスという名で、シンジケート撲滅のため上院公聴会で証言することになっていたのだ。

ブリットは、デル(デルゲッティ刑事/ドン・ゴードン)とスタントン(カール・ラインデル)と共にジョー・ロスを警護するホテルへと向かう。警護は3人で交代制としたが、スタントンが任務中に二人の男がロスの部屋に押し入り散弾銃を発砲し、ジョー・ロスは瀕死の重体、スタントンは脚を打たれ重傷を負ってしまう。
スタントンの証言によれば、犯人は真夜中の1時にチャルマースを名乗ってホテルを訪問し、ドアのチェーンを外したのはジョー・ロスだったと。
ブリットは事件の裏に何かがあると感じ取ったのだった。

初見の本作。一度観ただけでは解らない部分があり再見。
最初観た時には気付かなかったが、ラロ・シフリンのジャズ調の音楽とタイトルバックの映像(これが素晴らしくスタイリッシュ!)の裏で、シンジケートがらみの闘争が起きていたようだ。あちこちのサイトの情報を総合すると、ジョーは仲間を裏切って200万ドルを持ち逃げして逃走。その逃走を助けたのが兄のピーター・ロスだったようだ。(オフィスのプレートに兄弟の名前が二つ並んでいた。)
ジョーの逃亡先はサンフランシスコ。上院議員のチャルマースが、証言台に立ってくれるなら身柄を保護してやろうと確約していたのだ。
しかし、ブリットたちが警護にあたったジョーは偽者だったのだ。

夢中になるあまり、あらすじを全部書いてしまいそうなので、この辺で自粛。

本作での一番の見どころは、殆どをスタントなしでマックイーン自身が運転したというカーチェイスのシーンだ。アップダウンの多いシスコの急な坂道をフルに活かして、スタジオ撮影では出せなかった臨場感とスピード感が生まれ「ハラハラドキドキ」「ハラハラワクワク」のシーンになった。
このようなリアルなカーチェイス・シーンのために、マックイーンはピーター・イエーツ監督を呼んだのだという。
この時、敵のダッジ・チャージャーを運転していたのは、ビル・ヒックマンというカー・スタントマンなのだとか。このカーチェイス中に巻き込まれたバイクを運転していたのは、『大脱走』でマックイーンのバイク・スタントを担当したバド・イーキンズ。リアルなシーンは、こういうアクションのプロの力もあって迫力のある映像になったのだろう。

原作の主人公は60歳くらいの年配者の設定で、カーアクションのシーンはないそうだ。したがって、ブリットという新たなキャラクターを作った。本作はアラン・R・トラストマンの脚本によるもので、新たな主人公ブリットのモデルになったのは、「ゾディアック事件」を担当したサンフランシスコ市警のデビッド・トスキ刑事だそう。ブリットのショルダー・ホルスターもトスキ刑事を真似たらしい。
マックイーンのタートルネックのセーターは、当時のサンフランシスコ市警で流行したそうだし、あれはホンモノの刑事でも真似したくなるくらい恰好よく見えたのだろう。実際、カッコ良かったし!

ブリットとキャシー(ジャクリーン・ビセット)について。
二人の会話の中で、キャシーが「事件?」と聞くと、ブリットは「君には関係ない」と答えるシーンがあった。そして、カーチェイスでブリットの車が使えなくなって、キャシーの黄色の車で死亡したジョー(実はレニック)の妻の滞在先に向かう。そこで、キャシーはブリットの仕事の現場を実際に見てしまうワケだが、何と女性の惨殺死体が横たわっていたのだ。キャシーの目の前に立ちはだかって死体が見えない様にするブリット。
帰途でキャシーが車を降りて「私たちの将来は?」と聞くシーンがあった。ブリットは「これからさ(いまから始まる)」と答えていた。そしてラスト。事件が一件落着して帰宅すると、キャシーの黄色の車が停まっていて、ブリットはホッとしたような表情をする。洗面所で顔を洗うブリットの顔と外したホルスターやピストルや弾が映し出される。
あれは、どういう心境の表情だったのだろう?妙に静かな雰囲気を醸していたので、ひょっとして殺人課はもういいかな…と思っていただろうか。などと考えてしまった。いや、それじゃあブリットらしくない。キャシーもそれは解っていて、「でも、気を付けてね。無茶しないで」などと言いつつ、ブリットを見守ることにしたとか?・・・と考え直した。(私の妄想は続く…(笑))

音楽担当のラロ・シフリンについて。

彼の作曲した映画音楽を調べてみたら『ゲバラ』『ダーティハリー』『燃えよドラゴン』『悪魔の棲む家』『エアポート’80』『ラッシュアワー』等々。
テレビでは『0011ナポレオン・ソロ』『スパイ大作戦』など知っている曲が沢山。
アカデミー賞音楽賞にノミネートされた曲も数知れず。思わずYouTubeで聞いて確認した。
 

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