DISCASレビュー

映画『アイミタガイ』（2024年、草野翔吾監督、黒木華主演）は、中條ていの連作短編集を原作にした心温まる群像劇。ウェディングプランナーの梓は、親友・叶海の死を受け入れられず、彼女のスマホにメッセージを送り続ける。叶海の善行が明らかにされ、梓や周囲の人々の小さな優しさや出会いが連鎖し、喪失感からの再生を描く。「相身互い」という言葉通り、誰かを思った行動が巡り巡って希望を生む物語だ。黒木華の繊細な演技、中村蒼や藤間爽子らの共演が光り、草笛光子や田口トモロヲら実力派が深みを添える。脚本は無駄がなく、ささやかな日常の情景が心に沁みる。派手さはないが、優しさと繋がりに癒される作品で、観客の涙を誘う。