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鬱・トラウマ映画

じょ〜い小川
2025/03/26 16:51

【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『パラサイト 半地下の家族』

■パラサイト 半地下の家族

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

《作品データ》
ポン・ジュノ監督によるブラックコメディ映画!! 父、息子、娘が全員失業中のキム一家は半地下住宅に住み、内職で日々の生計を立てる。ある日、息子ギウが大学生の友人からIT会社社長パク氏の娘ダへの家庭教師の仕事を紹介され、パク氏の豪邸へ訪れることに。
主人公キム・キテク役をソン・ガンホが演じ、他イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジンが出演。

・1月10日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー!(12月27日より先行公開中)【PG12】
・配給:ビターズ・エンド
・公式HP:http://www.parasite-mv.jp/


《『パラサイト 半地下の家族』レビュー》

『母なる証明』、『スノーピアサー』のポン・ジュノ監督作品でもあり、2019年のカンヌ国際映画祭を制した映画でもある『パラサイト 半地下の家族』。パルムドールを獲った作品だからベストテンの下位辺りが動くかなと思いきや、これがとんでもない傑作! 

単純明快にして、スリリングでコメディでありながら昔からの韓国の貧富の差を現した社会派ドラマで、尚且つスマホや動画サイト、Wi-Fi、LINEがバリバリ出る現代的な作品である!!

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

まず半地下の貧しいキム一家の貧困とパク一家の金持ちぶりをくっきりと描いている。特にキム一家の貧困ぶりはここ数年の貧困を描いた映画の中でもかなり貧しい部類で、序盤でまずその悲惨さを堪能できる。

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

その上、映画全編でキム一家と半地下住宅周辺の悪臭描写が目立つ。映画を見ている我々は4Dの効果はないので実際は臭わないが、半地下住宅周辺で起こる諸々の日常風景やトイレの便器が変な位置にある住宅内の構造など容易に臭そうなのが想像できる。パク氏の邸宅でもこの臭いに関するシーンが随所で出て来るのも半地下の住人の業とみた。こうした臭いの描写はここ数年の貧困家族映画でも見られなかった斬新さ、リアリズムさが溢れている。

この映画の面白さの核がおそらくネタバレに触れる部分そのものだろう。タイトルの『パラサイト』というから貧乏なキム一家が金持ちのパク一家に「パラサイト(寄生)」するというのは誰もが考えられるが、さらにその上、またさらにその上を行く展開が何重にもあり、誰もが驚く。話が進めば進むほどスリリングさが増し、この映画のジャンル自体が「ブラックコメディ」という一言で片付けられないものに仕上がっている。

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

貧しい主人公がメイドがいる金持ち一家に入り込む大枠や階段の描写はキム・ギヨンの『下女』、その現代版リメイク『ハウスメイド』の影響が感じられる。また貧富の差やブルジョワ階級の描き方は『ゲームの規則』や『ゴスフォード・パーク』なども感じられるし、キム一家がパク一家への取り入り描写は『女王陛下のお気に入り』の匂いもする。
加えて、クラシック楽曲を中心としたBGMの使い方も秀逸。中でも中盤のシーンで使われるジャンニ・モランディの「In Ginoc-chio Da Te」はそのシーンにぴったりで驚いた!

貧者と金持ちといった人間だけでなく、有名建築家が作った邸宅とありあらゆる点でみすぼらしい半地下住宅といった住み処の違いからして分かりやすい本作の面白さは間違いなく万国共通な面白さであろう。年末年始(注:2019-2020年)の思わぬ大傑作にただただ驚くばかりだ!!!!

(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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