DISCASレビュー

映画『ロード・オブ・ザ・リング／ローハンの戦い』（2024年、ケンゾー・ナカシマ監督）は、J・R・R・トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのアニメ映画で、ピーター・ジャクソン監督の実写三部作の前日譚にあたる。ローハンの王ヘルム・ハンマーハンドを主人公に、アイゼンガルドの侵攻に立ち向かう壮絶な戦いを描く。物語は、ヘルムの娘ヘラの視点で進み、彼女の勇気とローハンの民の絆が強調される。アニメならではのダイナミックな戦闘シーンと、トールキンの世界観を忠実に再現したビジュアルが圧巻。声優陣（ブライアン・コックス、ミランダ・オットーら）の迫真の演技も光るが、原作ファンからはヘルムの物語に独自の脚色が多い点や、ヘラの役割の強調が賛否両論。実写版の壮大さに比べるとややコンパクトな印象だが、ローハンの文化やヘルムズ・ディープの戦いの背景を知るには魅力的な一本。トールキン愛好者やアニメファンなら楽しめるが、シリーズ未見だとやや置いてけぼり感あり。