🎥ハルビン🎥 伊藤博文を暗殺した男『アン・ジュングン』

🎬ハルビン🎬
(2024年 韓国 114分)
監督・脚本:ウ・ミンホ
出演:ヒョンビン、パク・ジョンミン、イ・ドンウク、チョ・ウジン、チョン・ヨビン、パク・フン、リリー・フランキー
ヒョンビン主演の『ハルビン』を見てきました。
伊藤博文を暗殺した人物として知られるアン・ジュングン(安重根)は、韓国では独立のために戦かった英雄として有名な人物だそうです。
🔶あらすじ🔶(allchinemaより)
1908年。アン・ジュングン率いる大韓義軍は劣勢をはねのけ日本軍に勝利する。その後アン・ジュングンは周囲の反対を押し切り、万国公法に従って戦争捕虜たちを解放するが、解放した森辰雄少佐らに再び攻め込まれ、多くの仲間を失ってしまう。絶望の中、隠れ家へ戻ったアン・ジュングンは、やがて伊藤博文が大連からハルビンに向かうとの情報を掴むのだったが…。 |

歴史ドラマなので、史実をベースにはしているものの、実際にはアン・ジュングンが暗殺に至るまでの詳細はよく分かっていないらしいです。なので、映画的にはかなり肉付けされているのではないかと思われます。本作ではアン・ジュングン(ヒョンビン)の人間性、後悔と苦悩、暗殺へと駆り立てられる心情を中心に描かれ、暗殺が実行された1909年10月26日に向けてドラマチックに物語が進行していきます。
冒頭の日本軍との戦闘シーン以降は、少しテンポが悪く感じましたが、後半の密偵を探す件あたりからスリリングな展開に俄然面白くなってきました。

何より映像がきれいです。冒頭の凍った川を歩くシーン、圧巻でした。そして過去を振り返るシーンはモノトーンになり、全体的に色を抑えた感じが重厚さを感じさせました。

リリー・フランキー演じる伊藤博文の言葉が印象に残りました。
『悪い王と腐った儒生で支配された300年は何も変わらなかったのに、わしが統治した3年間で朝鮮は大きく変わった。なのに彼らは何が不満なのだ?まったくわからない民族だ』みたいなセリフです。
日本・中国・朝鮮の3国が協力しあって列強に立ち向かう図をアン・ジュングンは描いていたのに、日本は彼らを下にみて支配しようと抑え込み、事実上の植民地にしたわけですから、不満に思うのは当然でしょう。

捕虜になった日本人の森少佐は、生き恥は嫌だ、自害をさせてくれ(名誉の戦死)と懇願したのに、『妻子のために生きろ』と開放されたことで、アン・ジョングンを恨みます。殺されなくて良かったと思わないところが、当時の日本人を象徴しているのでしょう。
日本兵を演じるのは韓国の俳優さんたちで、日本語がちょっとぎこちないのは仕方がないのですが、よく頑張ったと思います。

他所の国を自分のものにして支配しようなんて、絶対ダメです。日本はアジアの国々を見下して統治した歴史は十分に反省しているとは思いますが、この辺りを突き付けられると、今も尚申し訳ない気持ちになってしまう自分がいます。
抑圧し自由を奪えば、人は反発するもの。(今の世界情勢をみても、何故みんな仲良く出来ないのだろうか?と悲しくなりますね)
伊藤博文が暗殺されたことで、さらに朝鮮への抑圧が強くなり、アン・ジュングンの目指した日本からの独立は、36年の年月を経てようやく実現するわけです。それも日本の敗戦という形で手に入れた独立ですから、なんかモヤモヤしますよね。
賛否両論はあるようですが、歴史の一ページを知る意味では、観るべき作品かと思います。
