DISCASレビュー

『エア・ロック 海底緊急避難所』（2024年、イギリス、原題：No Way Up）は、クラウディオ・ファエ監督によるパニック・スリラー映画。メキシコのリゾート地カボへ向かう旅客機がバードストライクで墜落し、海底に沈んだ機内のエアポケットに閉じ込められた生存者たちが、酸素不足、水圧、人食いサメの脅威と闘いながら脱出を目指す。出演はソフィー・マッキントッシュ、コルム・ミーニイ、フィリス・ローガンら。『海底47m』の製作陣が関与し、91分のコンパクトな作品。飛行機墜落の冒頭は『ファイナル・デスティネーション』を思わせる迫力で、機体が海底に沈む絶望感とサメの恐怖が相まって緊張感が続く。エヴァ（ソフィー・マッキントッシュ）のリーダーシップや10歳のローザ（グレース・ネトル）の「サメは泡が苦手」という知識がユニークで、閉鎖空間のサバイバルがスリリング。ただし、機体のボロさやサメのUターン、息の持ち時間などB級映画らしい突っ込みどころも多い（例：「ボイル・シャルルの法則無視してるだろ」）。男性キャラの頼りなさ（特にカイルのネガティブなジョーク）や、祖父母の悲劇的な結末は賛否両論だが、善良なキャラ中心でクズキャラ不在は新鮮。