DISCASレビュー

カッツ
2026/01/11 08:05

ロリータ

1962年/イギリス、スタンリー・キューブリック監督

この作品は題材の性質上、DVDを借りるのもためらわれ、感想を書くことにも少し躊躇があった。それでも観始めると、大学教授ハンバートが下宿先を探す中で、庭にいた少女ロリータを目にした瞬間に心を奪われてしまうという、物語の危うい導入に引き込まれていく。
ロリータは10代前半の少女で、ビキニ姿でサングラスをかけ、無邪気に日光浴をしている。その姿に教授は強く惹かれ、気乗りしなかった下宿を即決してしまう。

やがて教授はロリータの母親から言い寄られ、娘への執着ゆえに結婚してしまう。しかし、教授の心が娘に向いていることを察した母親は動揺し、突然の事故死を迎える。残された教授とロリータは二人で旅に出るが、義理の父と未成年の娘という関係が周囲に受け入れられるはずもなく、物語は次第に破滅へと向かっていく。

若い女性に惹かれる中年男性の物語といえば谷崎潤一郎の『痴人の愛』が思い浮かぶが、あちらにはどこか戯画的な軽さやコメディ要素がある。一方『ロリータ』は、義理の父と娘という禁忌の関係を真正面から描き、甘さや救いはほとんどない。ただただ痛ましく、観ていて胸が締めつけられる作品だった。
ロリータは若く魅力的な少女として描かれるが、その存在に触れた瞬間から悲劇が始まってしまう。キューブリックらしい冷徹さと皮肉が漂う、重く苦い映画である。

 

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