DISCASレビュー

2017年公開韓国映画、SFとロマンス、そしてファンタジーが融合した異色の青春ドラマである。物語は、同級生たちと立ち入った禁止区域の洞窟で、スリンだけを残して3人の少年が突如姿を消すという謎の事件から始まる。

捜査が難航する中、スリンの前に「僕はソンミンだ」と名乗る見知らぬ男が現れる。周囲の人々は彼を正体不明の人物として疑うが、スリンだけはその男が、姿こそ大人になっていても心は少年のままのソンミンだと強く信じる。

物語の鍵となるのは、“彼方の世界では時間が止まり、こちらの世界では時間が早く進む”という時間のズレ。これは相対性理論にも通じる発想であり、SF的な設定にリアリティを与えている。その中で描かれるスリンとソンミンの絆は、時空を超えた純粋な愛として胸に響く。

ラブストーリーとSFの組み合わせは一見突飛にも思えるが、感情の流れが丁寧に描かれているため、物語に自然と引き込まれていく。映像も美しく、幻想的な雰囲気が作品全体を包み込んでいる。