【ボストン1947】カン・ジェギュ監督来日インタビュー前篇/ 「本作に込められた想い」
Summary
1947年、ボストンマラソン。ベルリンで止まった時間を動かすために、命がけのレースに挑む選手たちをゴールで待つものとは?『シュリ』『ブラザーフッド』の韓国の名匠カン・ジェギュ監督に、キャスティングについてや、走ることを題材とした「マラソン映画」への想いを聞いた。(取材:takae / 文:IKA)
takae:『シュリ』や、『ブラザーフッド』が本当に大好きな作品で、本作の『ボストン1947』も含めて、戦争や国家の分断によって引き裂かれた人々の悲しみや怒り、それでも懸命に強く生きていこうとする人たちのドラマが本当に丁寧に描かれているところが共通しているように感じました。このようなテーマに対して何か監督ご自身の特別な思いなどがあればお聞かせいただければと思います。
カン:特に意図してきたわけではないですが、国家という概念と個人という概念や、時代と個人の関係性については、昔から関心がありました。個人が、ある信念や意志を持っていても、生きている時代や、属している国家によって、個人の信念や意思が通せないような条件になったり、国家と相反する部分が出てきてしまいます。このような特別な時代、特別な国家の中で生きる個人との関係性に、やはり自分は興味があるのかなと思います。
takae:ありがとうございます。本作を観させていただいて、すごく感動したと同時に、ソン・ギジョン役を演じられた、ハ・ジョンウさん、ソ・ユンボク役を演じられた、イム・シワンさん、ナム・スンニョン役を演じられた、ペ・ソンウさん3人の演技がとても魅力的で役にはまっていた印象でした。今回のキャスティングの決め手や、監督から見た3人の役者としての魅力をお聞かせいただければと思います。
カン:本作は実在の3人が登場するので、それぞれの登場人物を一番よく表現してくれる俳優をしっかり選んでキャスティングすることが成功すれば、この作品の半分はもう成功するであろうと私は考えていました。そのような意味でも、それぞれ3人の俳優さんは、それぞれ3人の登場人物像に1番近くもあり、また1番うまく表現してくれる人だと思い、キャスティングをしました。
実際に、3人それぞれが120%うまく表現をしてくれたからこそ、素晴らしいハーモニーが生まれたのかなと思います。
takae:『マイウェイ 12,000キロの真実』という作品でも「マラソン」をモチーフに映画を作っていたと思うのですが、監督が考える「マラソン」の魅力を教えてください。また、今回どうして「マラソン」を題材にした映画を作ろうと思ったのでしょうか。
カン:大学生のころ、イギリスのヒュー・ハドソン監督の『炎のランナー』を観て、走ることがなぜこんなにカッコいいのだろう、なぜこんなに魅力的に見えるのだろうという風に感じたのを今でも鮮明に覚えています。それ以来、機会があれば、「マラソン」あるいは、走ることを題材にした映画を作りたいとずっと思っていました。
takae:監督はどうして「走る」ことがかっこいいと思ったのでしょうか?
カン:是非『炎のランナー』をご覧いただければ、なぜ私が「走る」ことに魅力を感じたのか、理解していただけると思うのですが、この映画を見ていると、「走る」といった人間の基本的な運動に対して、身体の動き一つ一つがとても美学的にとても美しく、躍動的に表現されているのが魅力的に感じました。
takae:監督はこの映画のエピソードを元々ご存知だったのでしょうか。また、どのような経緯でこのエピソードを映画化するようになったのでしょうか。
カン:普段から私は「マラソン」にとても関心があり、「走る」ことを題材にした映画を作りたいと思っていました。そして、ソン・ギジョン先生のマラソンの話を題材にいつか映画を作れたらいいなと思っていました。
本作のシナリオを最初に受け取って読んだ時に、ボストンマラソン大会について、私は知りませんでした。それまでは知らずにいたのですが、私たちの歴史の中に、こんな宝石のような話が隠れていたのだなと思い、映画化させていただきました。
経緯としては、私の後輩にあたる製作プロデュサーがこのシナリオを持ってきて、是非監督にこの作品を撮ってほしいですという風に提案をしてくれました。
ただ、私自身「走る」ことを題材にした映画を撮りたいと思っていましたが、その想いを特に誰にも話したことはありませんでした。そのなかで、製作プロデュサーが私にこのシナリオを持ってきてくれたことにとても運命を感じ、私の夢が1つ叶うと思い、今回、監督を務めさせていただきました。
2024年8月30日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!
『ボストン1947』
監督・脚本:カン・ジェギュ
出演:ハ・ジョンウ、イム・シワン、ペ・ソンウ、キム・サンホ、パク・ウンビン
公式サイト:https://1947boston.jp/
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投稿を表示タカエさんの取材、イカさんの文章…本格的で読みごたえありますね!!
そして、はじめさんはさすがの貫禄。
プロデューサーだと名乗っても違和感ないです😆
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