DISCASレビュー

カッツ
2025/12/05 07:36

推定無罪

ハリソン・フォード主演の本作は、スコット・トゥローのベストセラー小説を映画化した法廷サスペンスである。物語は首席検事補ラスティが、同僚であり不倫相手でもあったキャロライン殺害事件を担当するところから始まる。捜査が進むにつれ、次第に浮かび上がる犯人像はラスティ自身を指し示し、彼は自らの潔白を証明するために苦闘を強いられる。

映画は、法廷と捜査の緊張感を巧みに描きながら、真実と虚偽、愛と裏切りが交錯する人間模様を浮き彫りにしていく。ハリソン・フォード演じるラスティは、冷静さと焦燥の間で揺れ動く姿をリアルに体現し、観客を最後まで引き込む。

鑑賞していて印象的だったのは、証拠の扱い方である。被害者の体内に残された痕跡が犯人を特定する決定的な要素となる展開は、法医学の重みを実感させるものだった。事件の真相が明らかになるにつれ、人間関係の複雑さや女性の存在の影響力が際立ち、恐ろしさすら感じさせる。

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