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私の好きな映画

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2024/06/20 19:47

『朽ちないサクラ』試写会を観て

丁度、鑑賞前に散りゆく桜を見ていた。

数日前の晴れた日は満開だったのに...

前日の大雨でだいぶ散ってしまった。

なんと儚い美しさなんだろう─────

 

 

『朽ちないサクラ』の試写会にお招きいただき鑑賞しました。キャストラインナップから見ても、間違いないであろう布陣で、観る前からストーリーに没頭できると確信し、敢えて原作は未読のまま挑みました。
 

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

 

 


ストーリー

とあるストーカー殺人事件において、県警が被害届を受理せず引き伸ばし、慰安旅行に出かけたことが事件の原因であると地元新聞社によりスクープされる。

県警の広報課で働く事務員・森口泉(杉咲花)は、宅飲みの場で、親友である新聞記者・津村千佳(森田想)に、うっかり口を滑らせ、県警の不祥事がバレてしまう。口止めしたはずの親友が記事にしたと疑った泉だが、その後、千佳は変死体で発見された。


 

昨今よくありそうな不祥事に、スクープする側の記者。あるあるで終わりそう(終わらせてはならないが)な本件、真相はもっと奥深くにあった。


 

題名でもあるサクラ(桜)について。

 

桜は3月〜4月頃、冬が終わり気温が上昇し始めた頃に一気に芽吹いて、ものの1週間ほどで散っていく。その儚く妖しいまでの美しさに、様々なモノに擬えては、人は桜に魅了されてきた。桜の下には死体が埋まっていると仮説した作家もいるほどである。

本編には幾度となく美しい桜が映像に挟み込まれてくる。満開だったり、散ったりとその姿を変えながら

背景を彩る桜に心を惑わされながらも物語は進んでいった。


 

一方、この植物としての桜という意味の他にも『サクラ』には意味があり、《公安警察において行われる限りなく非合法に近い、あるいは非合法そのものの活動を統括する組織のこと》を指す際に用いた。現在はこの隠語はゼロという表現に変わっている。少し前に放送されたドラマVIVANT(別班)を思い出すとわかりやすいかと思われる。


 


 

登場人物① 森口泉(杉咲花)

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

物語の主人公。

疑った親友の死を知り、一介の広報担当が刑事さながら事件に介入していく。それは、亡くなった親友を疑ったことに対する罪の気持ちと共に、この先生きゆく自分自身への慰めの行為にも見えた。しかし、泉の真っ直ぐさは揺らがず、最後に決意した生き方に彼女の芯の強さを感じずにはいられない。


 

登場人物②磯川俊一(萩原利久)

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

主人公・泉に好意を寄せながら、その恋心を隠しつつ、泉のバディとして事件解決へと駒をすすめていく。突如辞めてしまった先輩である辺見学(坂東巳之助)を慕いながらも事件への関与を解き明かしていく素直な後輩でもある。真っ直ぐ過ぎる性格が、好青年そのもの。泉と同様、自分の信じた道を歩むべきであるという正義の人。


 

登場人物③富樫隆幸(安田顕)

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

泉の務める県警の警察官。

柔和な笑顔の下に、過去自身が仕出かした過ちを悔いている。悔いつつも、泉だけではなく周囲に気配りできる人。経験上なのか、表情が読めないところがある。今回の事件の深堀りに、必ず携わっている人。


 

登場人物④梶山浩介(豊原功補)

(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会

県警捜査一課。その荒々しい所作に真っ先に疑いたくなる胡散臭さをはらんだ人。泉が慕っているのを見て、ハラハラしながら見ざるを得なかった。味方につけたら頼れる兄貴そのものな人。


 


他にも登場人物はでてくるが、ザクッとキーを握る主要4人をピックアップしたものの、泉の未経験なりの不安定さ、それを毎度、近くで支えるバディ・磯川。思った以上に側に磯川がいて、その他キャストの軒並みて胡散臭いのに反して、磯川だけは疑えない。磯川俊一だけはいい人。そうじゃなきゃ、明日から何を信じて生きていけばいいのか、それぐらいには磯川俊一だけを手綱にして物語を見守っていた。ホラーサスペンスにおいて、特別色がつかない無垢な人。


 

ハラハラしたのは揺れる犯人像か。

はたまた、散りゆく桜のせいか。

 

 

世の中にたえて桜のなかりせば

春の心はのどけからまし────────


 

在原業平によるこの百人一首。

冒頭に述べた通り、雨風によりあっという間に散りゆく桜は、いかに儚い事か。。。

桜に惑わされずのんきな春を迎えたいと思いながらも桜がない日本の何と味気ないことか、とも思うのです。

 

 

 

『朽ちないサクラ』 
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2024年6月21日(金)TOHOシネマズ日比谷他、全国公開!
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©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
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『朽ちないサクラ』
主演:杉咲花
原作:柚月裕子「朽ちないサクラ」(徳間文庫)
監督:原廣利
脚本:我⼈祥太 ⼭⽥能龍
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
制作プロダクション:ホリプロ
製作:映画「朽ちないサクラ」製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、U-NEXT、TC エンタテインメント、徳間書店、ホリプロ、ムービック、nullus)
©2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会
公式サイト:culture-pub.jp/kuchinaisakura_movie 
X: @kuchinai_sakura/ Instagram:@kuchinai_sakura

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