DISCASレビュー

カッツ
2025/11/15 07:59

オリエント急行殺人事件

2017年公開、アガサ・クリスティ原作。これまで何度も映画化されてきたが、映像の美しさと豪華さという点では、2017年版が最もよい

物語は、雪に閉ざされたオリエント急行の中で起きた殺人事件を、名探偵エルキュール・ポアロが解き明かしていくというもの。すでにストーリーを知っている観客も多いが、この作品の魅力は、何よりもその映像美と空間演出にある

雪深い山中で脱線した列車の外は凍えるような寒さ。対照的に、車内は重厚なインテリアに彩られた暖かな空間。そのコントラストが、密室の緊張感と登場人物たちの心理を際立たせている。ポアロの謎解きは、まるで静かな舞台劇のように進行し、観る者をじわじわと引き込んでいく。

ケネス・ブラナーが演じるポアロは、従来のイメージとはやや異なるが、映像のスケールと現代的な演出に合わせた新しいポアロ像として興味深い。列車の美術、衣装、音楽など、細部に至るまで丁寧に作り込まれており、クラシックなミステリーに現代の映画技術が融合した作品となっている。

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