DISCASレビュー

カッツ
2025/12/15 11:22

パーフェクト・ケア

2020年/監督:J・ブレイクソン

本作は、高齢者の資産を巧みに奪う冷徹な後見人マーラを主人公に据えたブラックコメディ・スリラーである。社会的弱者を食い物にするという衝撃的な題材を、ユーモアとスリルを交えながら描き出している。

マーラを演じるのは、映画『ゴーン・ガール』(2014)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた実力派女優ロザムンド・パイク。彼女は本作で第78回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞している。憎らしいほど冷酷なキャラクターでありながら、どこかスタイリッシュでカッコよく見えてしまうのは、パイクの演技力の賜物だ。

物語中盤、ロシアン・マフィアとの対立が激化すると、マーラは悪知恵だけでなく、どんな窮地でも諦めない強さを発揮する。その姿は観客に嫌悪と同時に奇妙な魅力を感じさせる。対するマフィアのボスを演じるピーター・ディンクレイジは、表情や間の取り方だけで恐怖を漂わせ、スムージーを飲む仕草すら緊張感を生み出す見事な演技を見せている。

『パーフェクト・ケア』は、マーラという新しい時代の主人公像を提示する作品である。彼女に感情移入できるかどうかで評価が分かれるが、その挑発的な構造こそが本作の魅力であり、観る者に強い印象を残す。

コメントする