DISCASレビュー

カッツ
2025/11/02 07:20

あん

2015年製作、河瀬直美監督、樹木希林主演舞台は、客足の少ない小さなどら焼き屋。ある日、店で働かせてほしいと懇願する一人の老女が現れる。彼女が丁寧に炊き上げる粒あんの美味しさが評判を呼び、店は次第に繁盛していく。
あんこを作る工程が丹念に映し出され、その手仕事の美しさと誠実さが、観る者の心を静かに打つ。しかし、老女がかつてハンセン病の療養所にいたという噂が広まり、店には再び客が来なくなってしまう。
本作は、樹木希林の遺作でもあり、孫の内田伽羅も出演している。老女が暮らす療養所のたたずまいは、どこか身近で、私たちのすぐそばにある現実を思わせる。
差別や偏見の問題を静かに問いかけながら、「生きることの意味」や「人と人とのつながり」を見つめ直させてくれる、心に残る一作だった。

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1 件の返信 (新着順)
さもありなな子
2025/11/02 13:21

小豆の鍋をのぞき込む樹木希林さんのやさしい顔が素敵でした。
ラストの木から湯気が出ているシーンが幻想的で忘れられません。


カッツ
2025/11/02 20:00

彼女はこの映画の撮影時、死期が近づいていましたが、、役者としては最も円熟していますね。