【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『TATAMI』
【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『TATAMI』

《作品データ》
自分のために戦う、ただそれだけ! 世界柔道選手権に出場したレイラが孤立無援の中で見たものとは!? イラン代表の柔道家レイラは世界で活躍する選手と闘いトーナメントを順調に勝ち進んでいくが、突如棄権を命じられる。同行していた監督にも試合に出ることを止められ、誰も味方がない中で彼女のもう一つの闘いが始まる!! 実際に日本で起きた柔道大会での出来事に基づき作られた衝撃のスポーツ・エンターテインメント!
・2025年2月28日(金)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー!
・上映時間:103分
・配給:ミモザフィルムズ
【スタッフ】
監督:ガイ・ナッティヴ、ザーラ・アミール/脚本:ガイ・ナッティヴ、エルハム・エルファニ
【キャスト】
アリエンヌ・マンディ、ザーラ・アミール、ジェイミー・レイ・ニューマン、ナディン・マーシャル、アッシュ・ゴルデー、他
原題:TATAMI/製作国:アメリカ、ジョージア/製作年:2023年
公式HP: https://mimosafilms.com/tatami/
《『TATAMI』レビュー》
タイトルといい、フライヤーの雰囲気や『SKIN/スキン』のガイ・ナッティブ監督と『聖地には蜘蛛が巣を張る』の主演女優ザーラ・アミールが共同監督となった作品ということもあって見る前から期待が大きかったガイ・ナッティブ、ザーラ・アミール共同監督作品『TATAMI』。
これが予想を遥かに上回る面白い映画で、女子柔道の試合の迫力と主人公が巻き込まれるお国事情から由来するトラブルによる緊迫感が凄まじく、他数々の演出も功を奏した社会派スポーツ映画である!

ストーリーはジョージアの首都トビリシで開催された女子世界柔道選手権でのイラン代表選手のレイラ・ホセイニとコーチのマルヤム・ガンバリを追ったもの。レイラの立ち位置としては新進気鋭の若手で、レイラ以外にも前回優勝者他強豪選手が何人かいて、その中にイランと国際的に仲が悪いイスラエルの選手もいて、そのイスラエルの選手との対戦予測を巡ったトラブルが本作の見所の肝となる。

女子柔道の試合は迫力満点で、試合の行方もギリギリなので、主人公レイラを応援しながら見るようになる。その合間にレイラの家族がテレビ中継で盛り上がっている様子やバックステージの様子もしっかりと見せ、臨場感十分。


また、本作は実話ベースながらいくつか改変演出をしているが、その全てが「改良」の演出になっている。男子を女子設定に変えることでイスラムの女性らしい姿にイスラム社会の厳しさが見えるし、映像をモノクロにすることで異世界感が増して見える。


国家による脅迫の恐怖と試合の緊迫感が相まって、これまでにない社会派スポーツ作品が出来上がった!本作の監督とレイラのコーチ役を兼任したザーラ・アミールも健在。『SKIN/スキン』とは全く違った手応えながら、
社会派女子柔道映画としては唯一無二の面白さである!

