DISCASレビュー

カッツ
2025/10/25 07:39

チェンジリング

 チェンジリングとは、「子供の取り換え」を意味する言葉であり、タイトルからして不穏な空気を漂わせる。2008年公開のアメリカ映画で、監督はクリント・イーストウッド、主演はアンジェリーナ・ジョリー。1920年代のロサンゼルスで実際に起きた事件をもとにした作品である。
ジョリーは、息子を突然失ったごく普通の母親を演じている。普段の華やかなイメージとは異なる役柄だが、濃いメイクがやや気になった。物語は大きく三部構成で、それぞれが重く、上映時間150分は長く感じるかもしれない。
物語は、息子が失踪するところから始まる。警察は面子を保つため、別人の少年を「あなたの子だ」と言い張り、美談として処理しようとする。しかし母親はそれを断固として拒否する。警察は彼女を精神病院に強制入院させるなど、権力の横暴さが露わになる。今でも「間違いを認めない」体質は、警察や検察に根深く残っていると感じた。
一方で、息子の失踪は20人以上の誘拐殺人事件に関わっていたことが、偶然のきっかけから明らかになる。母親は最後まで息子の生存を信じ、「希望がある」と語る。その言葉が、絶望の中でも光を見出そうとする彼女の強さを象徴しており、深く心に残った。

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