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2024/05/28 22:37

やっぱりまた観たくなる「荒野の七人」

「荒野の七人」 (1960年・アメリカ) 監督・製作:ジョン・スタージェス

 

 

私の中で西部劇の最高傑作! 何度観ても「七人」のカッコ良さに痺れてしまう。

黒澤明監督の「七人の侍」(54年)のリメイク...この言葉が常に付いてまわるのが、やや鬱陶しい気持ちもあるが、西部劇の流れを大きく変えた永遠の名作として評価したい。

 

 

 

メキシコの静かな寒村に、毎年収穫期になるとカルヴェラ(イーライ・ウォラック)率いる盗賊がやって来る。村人達は恐怖に慄いていたが、長老の進言により、村人3人が銃を入手するためテキサスへ向かう。そこで全身黒ずくめのガンマン、クリス(ユル・ブリンナー)に会い、村人達は銃の購入について相談する。ところがクリスは、高い銃を買うより用心棒を雇えとアドバイスする。

村の窮状を聞かされたクリスは、貧しい農民たちを救うため、たった20ドルの報酬でその仕事を引き受ける。

果たして、クリスは人集め(ガンマンたちを集める)ことから始めるのだが...。

 

1人、また1人と、クリスの仲間に加わっていくシーンがとてもいい。

僅かな賃金で雇われたガンマン達は、次の面々である。

 

クリス:ユル・ブリンナー(1920.07.11 ~ 1985.10.10)

  自分の信念を決して曲げないリーダー。感情を表に出さないが、心は熱い。

 

ヴィン:スティーヴ・マックィーン(1930.03.24 ~ 1980.11.07)

  クリスの右腕で早撃ちの名人。銃撃戦では芸術的な身のこなしをみせる。

 

オライリー:チャールズ・ブロンソン(1921.11.03 ~ 2003.08.30)

  凄腕のガンマンだが心優しく、7人のなかで最も子供たちから慕われている。

 

ブリット:ジェームズ・コバーン(1928.08.31 ~ 2002.11.18)

  ナイフ使いの名人。1対1の決闘シーンでは、銃よりも早く相手を射る凄技をみせる。

 

リー:ロバート・ヴォーン(1932.11.22 ~ 2016.11.11)

  暗い過去を引きずる賞金稼ぎだが、凄腕の早撃ちガンマン。

 

ハリー:ブラッド・デクスター(1917.04.09 ~ 2002.12.12)

  大金を夢見るガンマン。20ドルの報酬を信じず、もっと大きな狙いがあると思っている。

 

チコ:ホルスト・ブッフホルツ(1933.12.04 ~ 2003.03.03)

  農民出身で、クリスに憧れている若者。盗賊との戦いの後、村の娘と結ばれる。 

 

実はクレジット2位で登場するのが、イーライ・ウォラック(1915.12.17 ~ 2014.06.24)で、盗賊の

  首領カルヴェラを悪魔的に演じている

 

今思えばかなりの豪華キャストだが、当時、世界的なスターとして君臨していたのはユル・ブリンナーくらい。彼は「王様と私」(56年)でアカデミー主演男優賞を既に獲得していた。

 

一方、スティーヴ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンらは、本作の出演によって大スターへの道を駆け上がっていくことになる。

 

ロバート・ヴォーンもTV「0011ナポレオン・ソロ」シリーズでブレイクし、その後は再度スティーヴ・マックィーン主演作にも出演している。

 

ドイツ生まれのホルスト・ブッフホルツも、本作を起点にハリウッド映画、欧州映画の作品に数多く出演している。

 

本作では正義を表す絶対的なヒーローは一人もいない

ラストも決してハッピーエンドではない。

西部劇そのものに変化が訪れてきている時代だったと思う。

ガンマンが荒野を切り開いた時代は終わり、流れ者としての存在が強調されていく作風は、やがて到来するマカロニ・ウエスタンの時代を予感させる。

 

ジョン・スタージェスは多くの西部劇を監督している。
56年「六番目の男」、57年「OK牧場の決斗」、58年「ゴーストタウンの決斗」、59年「ガンヒルの決斗」、67年「墓石と決闘」、72年「シノーラ」、73年「さらばバルデス」等々である。


本作の続編として、「続・荒野の七人」(66年、バート・ケネディ監督)、「新・荒野の七人/馬上の決闘」(68年、ポール・ウェンドコス監督)が製作されているが、本作には遠く及ばない。

ただ、ハリウッド西部劇の終焉とは思いたくないのだ。決して...。

 

最後に、本作の音楽を手掛けたエルマー・バーンスタインの功績も大きい。

勇壮なメロディーは作品に力感を与え、まさにジャズ風サウンド・トラックの先駆けといえるものだった。

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