2024年に観た映画(50) 「ロボット・ドリームズ」

絵面を見る限り何とも凡庸なキャラクター。いい歳した大人が観賞する作品にはおよそ思えない本作が評判になっていると聞いて観に行ってきました。そういう作品にちゃんとアンテナ張ってくれている映画館があって、ホントに助かる。
一見チャチな作りかと思っていたら、実はディテールまで味わい深さを湛えた作品でした。「アニメーション映画の品格は背景美術で決まる」とは宮崎駿監督の言葉だそうですが、本作の細部にわたって描き込まれたポップな背景描写が、102分という長編作品としてのクオリティを支えている。
いつの世にもいる、人(?)付き合いが下手で鈍臭い主人公が手に入れた“ともだち”。そこから始まるドッグとロボットとの有り体の交流が、外国アニメならではのゆったりした時の流れの中で、何とも味わい深く描かれています。離れ離れになった2人が何度も思い描く“妄想”にハラハラもさせられる。2人の友情の行末を案じずにはいられません。
終わってみればちょっと切なくてほっこりもする。人生に前向きになれるような、ハートウォーミングな作品でした。結構後引きます。
パンフレットには、"Director's Decalogue"(監督の十戒)として以下が記されていました。
01 友情について考察すること
02 アニメーション映画とすること
03 感覚的な世界を描くこと
04 サラ・バロンのグラフィックノベルの世界を尊重すること
05 ミュージカルとすること
06 ニューヨークへの“ラブレター”とすること
07 すべての観客のための映画とすること
08 フィルモグラフィにおける新たな挑戦とすること
09 国際的な視野を持つスペイン・フランス合作映画とすること
10 感情に満ちた作品とすること
「君たちはどう生きるか」がオスカーを射止めた第96回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされていました。




