DISCASレビュー

カッツ
2025/10/14 07:32

チューリップ・フィーバー

17世紀のオランダを舞台に、芸術と欲望、そして投機熱に揺れる人々の姿を描いた歴史ドラマである。物語には、フェルメールを思わせる繊細な筆致の画家が登場し、彼の存在が物語に静かな美しさを添えている。
当時のオランダでは、チューリップの球根が異常な高値で取引され、ついには家一軒と同等の価値がつくほどにまで暴騰する。そんな中、酔った男がその貴重な球根をうっかり食べてしまうという場面は、滑稽でありながら、投機の虚しさを象徴する印象的なシーンだった。
本来、ただの植物に過ぎない球根が、幻想と欲望によって天文学的な価値を持つようになる――その構図は、現代の株高や土地高騰の状況とも重なって見える。まさに、今もなお続く「チューリップ・フィーバー」なのかもしれない。
 

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