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2025/12/04 14:33

フランケンシュタインの逆襲(1957)

フランケンシュタインの逆襲(1957)

 1957年 イギリス 劇場公開:1957年7月13日

スタッフ 監督:テレンス・フィッシャー 製作:アンソニー・ハインズ 原作:メアリー・シェリ

     ー 脚本:ジミー・サングスター 撮影:ジャック・アッシャー 編集:ジェームズ・ニ

     ーズ 音楽:ジェームズ・バーナード

キャスト ピーター・カッシング、クリストファー・リー、ヘイゼル・コート、ロバート・アークハー

     ト、ヴァレリー・ゴーント、ポール・ハードマス、メルヴィン・ヘイズ ほか

ヴィクター・フランケンシュタイン男爵(ピーター・カッシング)は彼の城で起きた一連の殺人事件のために死刑を宣告されたがその殺人が自分の仕業ではなく、城の中にある秘密の実験室で彼が作った奇怪な半人獣の仕業であると主張していた。フランケンシュタインは誰もが自分を信じてくれないと知ると、昔彼の家庭教師であり、かつ助手でもあったポール・クレムプ(ロバート・アーカート)に来てもらって、この半人獣が強盗の死体と、死んだ彫刻家の手と、ある有能な科学者の脳髄との組合せから作って、それに彼等が生命をふきこんだものであるという自分の話を証明してくれるように頼んだ。ポールは嘗つて実験の結果が、拙劣怪奇で気狂じみた半人獣であることを知って気味悪くなり、逃げだしていた。

メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を原作とし、1957年に製作されたイギリス・アメリカ合作のホラー映画。製作はハマー・フィルム・プロダクション。第二次世界大戦前に大きなブームがあったが、戦後停滞傾向にあった古典的なホラー映画の分野を本作のヒットにより復興させた金字塔的作品である。リーが演じた怪物(本作では「モンスター」ではなく「クリーチャー」と表記される)はユニバーサル版とはイメージの異なる、死体を継ぎはぎしたようなグロテスクなデザインとなっている。これはユニバーサル版フランケンシュタイン・モンスターのデザインが著作権の問題で使用できなかったためとされる。しかし、監督のフィッシャーは新しいイメージの怪物を創造しようしていたので、敢えてユニバーサル版の踏襲に拘らなかったとも述べている。怪物の造形についてはユニバーサル版の印象が一般に強く浸透しており、新機軸を指向したハマー版の評価は良くはなかった。しかし、結果として『フランケンシュタインの逆襲』はフランケンシュタイン映画としては世界初のカラー映画として誕生した。カラーの特色を生かし残酷味を増した演出、ユニヴァーサルがフランケンシュタインの怪物を主軸に据えていたのに対してピーター・カッシング演ずるフランケンシュタインのマッド・ドクターとしての側面を強調した脚本、190cmの身長のクリストファー・リーの「まるで交通事故にでも会ったようだ」と評されたグロテスクなメイク、全てがユニヴァーサルの作品を古典として追いやってしまうだけの勢いと魅力に溢れた傑作であり、男爵の意外な形での破滅を中心に描いた本作は世界的なヒットを記録した。これに続いて制作された『吸血鬼ドラキュラ』の更なるヒットにより、ハマーは以後20年近くにわたりホラーメーカーのトップとして君臨する事となる。

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1 件の返信 (新着順)
さっちゃん
2025/12/05 21:59

 ユニバーサルの『フランケンシュタイン』及び『フランケンシュタインの花嫁』のクリーチャーの造形とはまた違った人造人間の造形は死体をつなぎ合わせて作られた感じが良く出ていたと思います。
 あれは原作小説の描写を、もう少しグロテスクな方向へ振ったものではないでしょうか。クリーチャーに扮したクリストファー・リーは長身で痩せ気味の体格なので、ボリス・カーロフの威圧感のある演技と対比するとぎこちない動きが気味悪さを増幅させていました。
 それとヴィクター・フランケンシュタインのキャラクターは京介さんの記事のとおりマッド・ドクターであり、その上、恩師の脳みそを人造人間に使うために殺害するとか、邪魔になった女をクリーチャーに殺させるとか、人非人ですねぇ。
 まぁ、そういうキャラクターですから、あの最期は相応な結末だと思います。ハマー・フィルムが扇情的な残酷描写で有名になる走りでしょうかね。